日本一早いマラソンレポート「いわて盛岡シティマラソン2023」

本日、盛岡にていわて盛岡シティマラソン2023が開催されました。昨年も開催されましたがコロナ禍での開催ということで様々な制約があり、前日までの体温チェックなども必要になっていましたが、今年はそのような対応もなく完全体とての開催。ある意味ここからリスタートとなります。

今年のいわて盛岡シティマラソンですが、ちょうど冬がやってきたようで、スタート時には10℃以下、最高気温も13℃の予報で、さらに曇り空のはずが、太陽が顔を見せたり、雨が降ったりと忙しい6時間となりました。ここではそんないわて盛岡シティマラソンを実際に走ったレポートをお届けします。

目次

沿道の声援が気持ちいい前半とストイックな後半

昨年と今年の大きな違いは、沿道の盛り上がりが2倍以上になっているように感じたこと。いたるエリアで踊りやダンスなどでランナーを盛り上げてくれるだけでなく、応援に来ている人も明らかに昨年よりも多く、やっと以前のような活気が戻ってきたように感じます。

昨年は大会当日に前日までの体温を記載したチェックシートなどの提出があるなど、パフォーマンスとはいえコロナ禍であることを意識した運営になっていましたが、今年はそれが撤廃されていて、昨年の良かったところと過去の良かったところがハイブリッドされたような大会になっていました。

ただ、沿道の声援を期待できるのは前半部まで。20km以降になると急にストイックな表情を見せてきます。しかも25km地点の少し前から急坂が始まるテクニカルなコースで、細かなアップダウンもあって想像以上の難コースになっています。

ただ正確にペースを刻むペースランナーもついていますし、この日の気温が10℃前後とベストコンディション。夏にしっかりと走り込んだランナーにとっては、最高の舞台でレースを楽しめたはずです(走り込みができなかった私は大変でしたが)。

東京マラソンのような大都市マラソンが好きという場合には、いわて盛岡シティマラソンに魅力を感じないかもしれませんが、走りごたえのあるコースが好きという人や、秋の風景を楽しみながら走りたいという人なら、きっと満足できるはずです。

ただ、今年はとにかく寒く。太陽が顔を出していると走りやすいのですが、雲に隠れると手の指の末端から冷えてきます。私は前日に軍手を購入したのですが、東北のマラソンを走る人はそろそろ冬支度が必要になるかもしれません。

急な登り坂は1km程度なので戦略次第で攻略可能

いわて盛岡シティマラソンの特徴といえば、やはり25km地点の少し前から始まる坂道。距離にして1kmくらいしかないのですが、坂道トレーニングをしていない人からすると、最大の難関になってしまいます。実際にペースランナーについていた人も多くがここで脱落。

とはいえ、たかが1kmの距離ですのでキロ5分で走ってきたならキロ5分30秒まで落としてしまって、下りで20秒縮めて、あとはコツコツ10秒ほど速く走れればOK。ペースを落とさないようにすると負担が大きく、後半の失速に繋がります。実際に大失速した私が言うのですから間違いありません。

どちらかというと難しいのは小さなアップダウン。時計でペースを確認するタイプの人は、ペースが安定しないのでストレスになったかもしれません。でもアップダウンがあるくらいがマラソンは面白いもの。ひとつずつの山を自力で切り抜ける。いわて盛岡シティマラソンにはそんな魅力が詰まっています。

少し厄介なのがエイドに個包装したお菓子が多いということ。これを取っているとペースが落ちてしまいます。バナナやチョコレートのようにむき出しのままのフードよりは管理しやすいですし、雨対策にもなるのですが、袋に入った南部せんべいで補給するのは大変です。

ただドリンクはしっかりしていて、基本は水とアクエリアス。「ここががんばりどころ」というエイドにはコーラが置いてあります。こういうセンスの良さはもっと評価されてもいいと思いますが、エイドの特色が弱いのが玉にキズ。

御所湖のエイドで駐車場内にフードエリアがあったようですが、タイムを狙う場合にはそんなところに立ち寄る余裕はありません。もっともこれにより後方のランナーもちゃんとエイドで補給できるようになるといったメリットもあります。

ただ、今回は個人的にタイムも重視していたので、フードエリアがどうなっていたのかはわかりません。もしかしたら名物が出されていた可能性はあります。せめて何があるかくらい見ておくべきでした。あとタイムを狙うなら自分で補給食を用意したほうが良さそうです。

4,000人規模のフルマラソンだけど序盤混雑する

残念だったのは参加者が少なかったということです。会場入りしたときに「あれ?去年よりも少ない?」と感じるほど空間に余裕があり(実際にはフルマラソンは100人多いはず)、マラソン大会につきもののトイレの混雑がまったくありません。

ランナーにとってトイレ待ちがないのは嬉しいことですが、6,000人の募集に対して3,800人の参加ということで、コロナ禍明けの集客できない問題がここでも発生しています。どうすればかつてのように参加枠が埋まるのか、マラソン業界全体で考えていく必要があるかもしれません。

ただ、いわて盛岡シティマラソンに関しては4,000人が適正規模なのかなとは思います。スタートしてしばらくすると、かなり狭い道を走ることになり混雑します。折返しのある場所ではペースランナー集団がすれ違うときに、ぶつかりそうになっています。

私はBブロックでスタートしましたが、最初の2kmが過ぎるまで自分のペースで走れませんでした。もっとも世の中には5kmくらいまで混雑が続く大会もありますので、最初の2kmくらいで済むなら問題ないのですが。ただ、これが6,000人だとすると話が変わってきます。

6,000人のランナーが集まればトイレも不足するかもしれません。走っているときに自転車の救護部隊をそれほど見かけなかったので、いざというときに迅速な対応ができるのかもわかりません。もっとも、それは6,000人で開催してみないとわからないことです。

運営そのものはしっかりしていますし、ボランティアスタッフさんも素晴らしく、何ひとつ不足しているとは感じない大会です。コースも何度でも挑戦したくなるような魅力が詰まっています。ただ、それは参加者が4,000人だったからかもしれないということは頭の片隅に置いておく必要があります。

この規模のマラソン大会は今後集客が課題となる

おそらく実際に走った人の多くがすでに「来年も走りたい」となっているはずです。思うようなタイムにならなかった悔しさと、走りきったときの達成感など、走った人でないとわからない魅力がいわて盛岡シティマラソンにはあり、RUNNING STREET 365としてもおすすめできる大会です。

ただ、10月のマラソン大会が多い時期に、他のマラソン大会から参加者を奪えるようなインパクトのある大会かというとそうではありません。当たり前のことをきちんとしていますし、大きなトラブルもなくゴール後の飲食店ブースも充実していて、しかもリーズナブル。

それでもオンリーワンを強くアピールするものが少ない。これが2年連続で参加して感じたことです。地方都市の大会だから仕方ないと諦めることは簡単ですし、それで採算がとれるなら問題ありません。でも現実はそうではないはずです。4,000人と6,000人では経済効果が単純計算で1.5倍も違います。

これから、いわて盛岡シティマラソンのような規模の大会の、生き残り競争が始まってしまうのではないかと危惧しています。おそらくいくつかのマラソン大会は予算を確保できずに中止することになりそうですが、そのときにいわて盛岡シティマラソンまで消えてしまわないことを願っています。

いわて盛岡シティマラソンに唯一足りないものがあるとするなら、PRに対するアイデアでしょうか。「おもてなし」という言葉を多用したり、有名人を呼んだりする従来型のPR方法ではなく、盛岡ならではの魅力の詰まったさらにワンランク上の大会になっていくことを期待しています。

いわて盛岡シティマラソン:https://iwate-morioka-city-marathon.jp

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