日本一早いマラソンレポート「天童ラ・フランスマラソン2023」

昨年3年ぶりの開催となった天童ラ・フランスマラソン。かつてはすべてのエイドでラ・フランスが提供されることと、高低差のあるコースで全国から多くのランナーが集まってきましたが、コロナ禍後にどう変わったのか実際に走って確認してきました。

結論としては以前よりもさまざまな工夫がプラスされていて、走ることがより楽しめる大会になっていました。もちろんこれまでの魅力を引き継ぎつつの工夫ですので、ハーフマラソンですが遠方から遠征してきたくなるような大会のひとつになります。

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気温が低くベストコンディションになるはずが……

天童ラ・フランスマラソンは11月初旬に開催される東北の大会ということもあり、本来であれば肌寒い中のベストコンディションで走れる大会です。今年も気温は14℃の予報でしたが、会場に向かう道ですでに気温が高く、少し汗ばみます。

とはいえ、じっとしていると少し寒さを感じるので手袋をして走り始めましたが、2km地点で必要なくなったどころか、気温が高くなったのか、それとも体が温まってきたのか、徐々に額から汗が流れ出します。寒さ対策で長袖のインナーを着たのは失敗。

多くのランナーが暑さと向き合うことになりましたが、多少暑い程度ですので熱中症のリスクはほとんどありません。そもそも天童ラ・フランスマラソンはハーフマラソンなのに6ヶ所もエイドがあります。さらに最終エイドが第0エイドになっているので、実質的には7ヶ所もエイドがあることに。

ただ、フィニッシュ後には水やスポーツドリンク、コーラなどを給水ドリンクとして配っていましたが、後方のランナーは水とスポーツドリンクがなくなっており、コーラなどのジュースしか選べなくなっており、少しかわいそうなことになっていました。

すべてのエイドでラ・フランスを出すスタイルは変更

天童ラ・フランスマラソンといえば、すべてのエイドでラ・フランスが出される大会として知られていますが、今回はラ・フランスではなく「将棋もろこし」などの天童の銘菓が出されるエイドもありました。おそらく昨年のコロナ対策などでいろいろ考えた結果、個包装のフードを導入したのでしょう。

これはいい方向への変更ではありますが、ドリンクエリアのあとにフードを提供する順番になっており、ラ・フランスのエイドはそれでいいのですが、銘菓が口から水分を奪われるタイプのものだったので、走りながら食べるのは難しいという問題が。

できることなら「将棋もろこし」のエイドは、「将棋もろこし」のあとに給水できるようになっていると理想ですが、天童らしいものが出てくるのは嬉しいところです。ちなみに走り終わってからもラ・フランスと芋煮が提供されており、そもそもハーフマラソンとしては他の大会にはないフードの充実具合です。

また天童ラ・フランスマラソンは、オホーツク網走マラソンと提携しており、オホーツク網走マラソンの特別エイドとしてカニが出てきます。こうやってマラソン大会同士が提携し、個性的なエイドができるのは嬉しいところです。もちろんオホーツク網走マラソンには天童ラ・フランスマラソンのエイドがあり、新鮮なフルーツを楽しめます。

アップダウンのきつさは変わらないけどここにしかない景色

コースは以前と少しだけ違いましたが、基本的な高低差は変わらず、コースの難易度は以前と同じ。でもこのアップダウンがあるからこその天童ラ・フランスマラソン。フラットでないからこそ、簡単ではないからこそ乾燥したときの達成が得られます。

以前もそうだったのかもしれませんが、今年は例年よりも真っ赤な林檎が実った木が多く、林檎畑の中を走っているような感覚も。さらに柿も実っており、秋の気配を感じられるのも天童ラ・フランスマラソンの魅力です。

紅葉は例年よりも少し遅かったかもしれません。それでも沿道の声援はこれまでと変わらず、優しくランナーを包み込んでくれます。都市マラソンのような力強い声援ではありませんが、一人ずつの顔が見えるので声援がダイレクトに伝わってきます。

ボランティアスタッフさんも途切れることなく声援を送ってくれますし、小さなお子さんから地元のおじいちゃんおばあちゃんまでランナーの背中を押してくれます。後半はフラットで単調なコースになりますが、応援してくれる人がいるということが力になります。

市長が市民と一緒に走る大会は良い大会になる

天童ラ・フランスマラソンに限ったことではないのですが、地元で愛され続けるマラソン大会には共通点がひとつあります。それが市長などの自治体の長がマラソン大会に対して本気で向き合っているということです。

天童ラ・フランスマラソンの場合は、市長が実際にマラソン大会を走ります。今年は3kmのコースを走っていましたが、距離は問題ではありません。自治体の長がマラソン大会を楽しみにしていると、それは周りの人にも伝染していきます。

運営する人たちも、やらされる仕事ではなく前向きに取り組めるので、自然とマラソン大会が魅力的なイベントになります。天童ラ・フランスマラソンはまさにそんな大会で、それに関わる人たちが、自分たちにできるベストを尽くしてランナーを迎えてくれます。

最近は深刻な定員割れになるマラソン大会が増えていますが、天童ラ・フランスマラソンは一時的に参加者が減ったとしても、まず間違いなくランナーが戻ってくる大会のひとつ。難コースですのでタイムを狙いたい人にはおすすめしませんが、走ってよかったと思えるマラソン大会に出たいなら、天童ラ・フランスマラソンは間違いなく、その期待に応えてくるおすすめの大会です。

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