日本一早いマラソンレポート「東京マラソン2017」

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11回目の開催となる東京マラソンはコースを一新したことで、過去の10年とはまったく違う大会へと変貌を遂げました。日本最高の高速レースを展開できるフラットなコースと、これまで以上に途切れることのない沿道の声援。

それでは東京マラソンは、世界に誇れるマラソン大会へと進化したかと言われると、否と言わざるをえないほど、大きなマイナス要素もありました。驚くほどのプラス要素と、驚くほどのマイナス要素。この両者をどうバランスを取っていくかが、来年以降の大きな課題です。

それでは何がプラスで、何がマイナスかということを順を追ってレポートしていきましょう。

目次

走り続けることができる最高のコース

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東京マラソンは2時間3分台という記録が出たことで、フラットなコースであることが注目される可と思いますが、自己ベスト更新を狙う市民ランナーでなければ、フラットなコースというのはそれほど重要ではありません。

最後まで飽きることなく走り続けられるコース。これが新コース最大の魅力です。昨年までのコースは新宿を出て、皇居のほうへ走り、そこから品川を目指していたのですが、皇居から品川までのコースは沿道の声援が少なく、ただひたすらにまっすぐの単調な道でした。

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ところがこのコースを30km以降の後半に持ってきたことで、沿道には溢れんばかりの観客が詰めかけることになりました。しかも前回までの後半は高架を利用したり、応援に行きにくい場所がコースだったため、苦行のような後半でした。

今回のコースはとにかく声援が途切れません。声援が力になるというと、そんなもの関係ないと言うランナーさんもいるかと思いますが、声援に背中を押されたランナーさんも決して少なくはないはずです。

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声援の素晴らしい大会は東京マラソン以外にもありますが、これだけ沿道を埋め尽くすという大会はおそらく世界中でもそう多くはないはずです。初めてフルマラソンを走った人たちは、この興奮がヤミツキになってしまうかもしれません。

賛否のある新しい取り組み

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東京マラソンでは今年からセキュリティのためのリストバンドを採用されています。木曜日の受付に行った人はレースが終わるまでの間、ずっとリストバンドをつけ続ける必要があります。

スタートエリアに入るときのセキュリティチェックと、手荷物を受け取るときの目印になっているのですが、ほとんどのランナーさんが邪魔に感じたのではないでしょうか。来年以降、木曜日の受付は今年以上に人が来なくなるかもしれません。

おそらく本人以外が走る、代理出走対策ということなのでしょう。確かに代理出走を避けるためにはいい方法ではあります。

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スマートフォンや携帯電話、交通系ICカードの携帯も義務付けられています。実際に持って走った人がどれくらいいるかはわかりませんが、例えばサブ3を狙う市民ランナーにこれらを持って走れというのは無理があります。

ただし、これはレース中の地震や事件・事故が発生したときの対策で、荷物は会場に預けたまま、レース途中に自宅に帰ることができるようにするための措置です。

こうした新しい取り組みは賛否があるものの、その意図をきちんと公表すれば問題なく定着していくことでしょう。ただし、この方法が本当に正しいのかどうかはこれから議論されていくことでしょう。

フィニッシュスタンドは何のためにあるのか

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東京マラソンのゴール地点には、フィニッシュスタンドが設けられています。最後の100m、ランナーを出迎えるための観客席ですが、ここに入るためには前日イベントに参加して観戦チケットを手に入れる必要があります。

これも面白い試みだとは思いますが、ゴール時間が5時間以上経過したときには、このスタンドのほとんどが空席となっていました。他の時間帯がどうだったのかはわかりませんが、がら空きのスタンドに出迎えられるランナーはどんな気分なのでしょう。

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このスタンドはどうにかして常に満席にしておきたい場所です。少なくとも昨年までのフィニッシュスタンドは5時間台のゴールでも多くの人が出迎えてくれました。最も気持ちが昂るところで、ちょっと拍子抜けのゴールです。

またコース終盤に日比谷公園沿いを走るときには、日比谷公園側の車道をランナーが走るのですが、そちら側の歩道に応援者が入れないため、声援が遠くなってしまいます。これもやはりもったいないところです。

コース設定上、仕方のないことなのはわかりますが、そもそも日比谷公園が荷物置き場で正解なのかという大きな問題があります。

フィニッシュ後の動線は改善の余地あり

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東京マラソンは東京駅を背後にゴールすることができるということがひとつのウリですが、その結果として完走したランナーの大半は、フィニッシュエリアから日比谷公園まで歩くことになります。

日比谷公園の入り口までは900m歩くことになります。日比谷公園も広いため、ほとんどの人が1km歩くのですが、タオルや食べ物などが支給されるため、非常に混雑して、フィニッシュエリアから日比谷公園までの移動はとても時間がかかります。

フィニッシュしてから着替え終えて日比谷公園の外に出るまでに、かかった時間が1時間30分以上という人もいるくらいです。今日は天気が良かったため、これでもまだいいのですが、雨が降ったらどうなるのか、ちょっと想像したくないくらいのひどい状態になるのは目に見えています。

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もちろんこれは新しいコースにしたため、実質1回目の大会というのに近いほど、どうなるのか、やってみなければわからないところが多い大会です。間違いなく来年以降は改善してくるはずです。

ただし、東京駅から有楽町周辺までの道路封鎖も含め、マラソンに関係ない一般の人たちの同意を得られるかと言うと、それはちょっと無理があるのではないかと感じます。東京マラソンは大きなイベントですが、東京マラソンに関係してない人のほうが多いということを無視していいわけではありません。

大きな光と影を抱えてしまった東京マラソン

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マスコミはおそらく東京マラソンを、大成功の大会という報道を行うはずです。それを東京マラソンの運営側が真に受けるとは思いませんが、本当に良くなかった部分はきちんと分析して、改善する必要があります。

もちろんそれはここで論じるよりも、運営者が一番感じていることでしょう。そして、今回のゴールエリアには無理があることは明らかで、とはいえ2時間3分台の記録が出たという事実も無視できません。

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今日、沿道で声援を送った人たちは「来年こそは自分が」そう強く感じずにはいらられないほどの、素晴らしいコースと声援がここにはあります。東京マラソンは東京マラソンだからこそできる体験があります。

東京マラソンが始まったばかりのころも同じように課題をたくさん抱え、毎年改善を積み重ねてきた結果、いまの大成功があります。また改善の積み重ねをして、東京マラソンをさらに進化させてくれるはずです。

コース変更によって、大きな光と影を抱えることになった東京マラソン。その未来が明るいものであると期待しつつも、それらをどう克服していくのかについて注目していこうと思います。

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