第16回目となった24時間グリーンチャリティリレーマラソンin東京ゆめのしま、通称「夢の島24時間」はいつもよりも参加者が少なく感じる中での開催でした。
多い年には陸上競技場の外側にまでテントが張られますが、今年は競技場内だけで、しかもいつもテントがあるエリアにもテントがなかったり、個人用テントのスペースにも余裕がありました。
同日開催で、飛騨高山ウルトラマラソンと、いわて銀河100㎞チャレンジマラソンが開催されたことも、多きな影響を与えているかもしれません。特に個人の部はウルトラランナーとしての参加者が共通ですので、分散されてしまったかもしれません。
とはいえ、運営が良くなかったかというと、そういうわけではなく、昨年までのあたり前であっても、まったく新しいものに変わっていることもありました。賛否はあるかと思いますが、参加賞はタオルからTシャツに戻っています。
これまで着実に大会を成長させてきたポイントはそのまま引き継ぎ、さらに変化を加えようと、エイドに本格シェフが調理したての料理が出されている時間帯もありました。
餃子が出されたときには、チームの部の走っていない人が行列を作っていましたが、正直これにかんしてはどうかと思います。エイドは走る人のためであり、それらを待機している人が行列を作って使いづらくするのは、ランナー側の倫理的な問題です。
グリーンチャリティリレーマラソンin東京ゆめのしまでは、4時間、6時間、12時間、24時間の種目があります。それぞれにチームの部と個人の部があり、スタート時には24時間と6時間が一緒にスタートし、夜に12時間の部、そして翌朝から4時間の部が始まります。
コースは夢の島陸上競技場内のトラックと競技場の外周を合わせた、1周約1.25㎞の走りやすいコースです。一部でやや上り坂になる部分がありますが、それ以外はほぼフラットな感覚で走れます。
参加者が少ないのですが、今年はコースにコーンをたくさん配置したことで、コース幅がやや狭く感じる場所がありました。その結果として、最近は少なくなっていた無理な追い越しが目立ちます。
リレーの人は約1.25㎞を1周で交代しますので、4分/㎞よりも速いペースで走ります。一方の24時間個人の部は、10分/㎞よりも遅いペースの人もいます。遅い人が最短コースにいると、じゃまに感じるのでしょう。
足の速いチームの部の人の多くが、強引な割り込みなどによるライン取りをして、何度か危険を感じることがありました。勝つことを目指すのはいいことですが、そういう危険な走りをする人たちが、一般の参加者の参加を妨げているということを、大会運営側は強く認識したほうがいいかもしれません。
過去にはそういう人たちを排除していたような流れも感じていたのですが、今後もそのような措置が必要かもしれません。
大会初日の気温は最大32℃。立っているだけで汗が流れる気温でしたが、昨年ほどではありません。2日目もやや気温が上がりましたが、今年は比較的涼しく、走りやすいコンディションです。
6月ですので雨が降りやすい大会ですが、今年は雨もなく、多くのランナーが自分の実力を発揮できていたように感じます。
夜は涼しすぎて、ボランティアスタッフが寒そうにしている姿が少し目につきました。この時期の大会開催は天候的に考えて、とても難しいのですができるだけ多くの可能性を探っておくと、本当に天候が急変したときに、慌てずに済みます。
今回のような気温の変化がある場合は、熱中症で倒れる人も出たりしますが、今回はエイドのドリンクに水とDNSのドリンクを用意していたからか、救急車が出動するということもなく、安全に開催されました。
こういう部分では16年の歴史はさすがだなと感じます。
16年間の経験を活かしつつも、新しい取り組みをしていこうという姿勢を感じられた、今回のグリーンチャリティリレーマラソンin東京ゆめのしまは、来年以降の進化を期待できる大会に仕上がっています。
それでもやはり気になるのは、ランナー同士の接触です。これだけは、「仕方がない」で放置するわけにはいきません。勝つことの素晴らしさを伝えることも大切ですが、それもある程度のマナーを守った上でです。
24時間リレーマラソンは、お互いがライバルでありながら、お互いが仲間のような親近感を持ちながら走れることが魅力です。競争ではなく競走というのがリレーマラソンを盛り上げるひとつの要素です。
速いランナーが遅いランナーに気を使って追い抜く、追い抜かれる側も邪魔にならないようなライン取りを心がける。こういう小さなことが、参加するランナーにとって「楽しかった」と思えるポイントです。
これはグリーンチャリティリレーマラソンin東京ゆめのしまが以前のような活気を取り戻すためには、必ず必要なことです。
ランナーの数が減少しているため、リレーチームのメンバーを集めることも簡単ではありません。チームの代表となった人が、その面倒な作業をしてでも、「苦労してでも、出てよかった」と思ってもらえなければ、来年のチームでの参加はなくなります。
大会の雰囲気は集まるチームによって決まり、それを上手にコントロールするのが大会の運営が行うことです。
以前のような厳しさがなくなったことを、よしとするチームもあるかもしれませんが、勝つことよりも大切なことがある。そういうことをもっと大会側が提案していければ、この大会はこれからも人気の大会となれるはずです。
もっとも、参加者だけが増えても良い大会になれるわけではありません。まずはこの規模の参加者からの出発。これくらいの参加者だからできることが必ずあるはずですので、来年以降のさらなる変化に期待します。
やや厳し目に大会のレポートをしましたが、グリーンチャリティリレーマラソンin東京ゆめのしまは決して悪い大会ではなく、運営もしっかりしていますし、安心して参加できる素晴らしい大会です。
速さを求めるチームがあり、チームワークを楽しむチームがあります。個人でも、それぞれが自分たちの想いを持って参加しています。過去の自分を乗り越えるなど、参加者の数だけ挑戦があります。
そういう参加者の想いを、しっかりと受け止めてくれる器の大きな大会です。
だからこそ、もうワンランク上の大会運営を期待してしまいます。そして間違いなく、これからも進化していいくことを信じています。
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