2018年6月17日に東京タワー階段競争とRed Bull 白龍走が開催されました。東京タワー階段競争は東京タワーの階段を駆け上がるレースで、Red Bull 白龍走は熊本にある日本一長い3333段の階段を含む3333mを駆け抜けます。
階段レースが同日に開催されたのは偶然なのかもしれませんが、私の周りのランナーはいずれかに出場して、それぞれに苦しんだようです。
ハルカススカイランを目指す私としては、英雄は最後に出てくるものだということで出場を見送りましたが(両方エントリーを忘れてただけ)、みんなが走っているのを思い浮かべるとやや悔しい。
階段レースを走ったことのない人には、この感覚がうまく伝わらないかもしれません。階段レースみたいな短い距離を走って何が楽しいのかと。東京タワー階段競争の優勝者は2分とちょっとでゴールします。フルマラソンは速くても2時間。
普段、何時間もかけて42kmを走っているのとはまた違った快感や達成感があり、1度やってみると、その魅力から抜け出すことが難しいのが階段垂直マラソンです。実際に、ハルカススカイランが始まってから階段ランナーが増えています。
中国では階段レースが無数にあるらしく、階段垂直マラソンは世界的な流行となりつつあります。
階段垂直マラソンが流行る理由はなんといっても、お手軽にオールアウトできるということにあります。人間はなかなか1人ではオールアウトできません。普段の練習で倒れるまで追い込むなんて漫画の世界の主人公でもない限りできません。
でもハルカススカイランのようなレースに出れば、会場の雰囲気と溢れ出るアドレナリンでいつも以上の自分を引き出すことができ、そして倒れる直前まで自分を追い込むことができます。
フルマラソンですと、そうもいきません。まず無事に自分の家まで帰らなきゃと考える余裕がありますし、追い込むような走りをしていたのでは42kmも走り切ることはできません。
ハルカススカイランくらいの階段ですと、3kmや5km走のようなものです。倒れるまで追い込んでも少しすれば回復します。でも3kmや5kmと違うのは心拍数が簡単に限界値に達するということです。
10段も上がれば一気に心拍数がMAXに到達します。でもそこでスピードを緩めずに、さらに上がっていくとランナーズハイならぬクライマーズハイの状態になります。興奮が極限状態になり、そこに心地よさを感じてしまいます。
これはトレランのバーティカルレースなどにも似ていますが、不整地を走るのではなく人工的な建造物駆け上がります。目指すのは前ではなく上。レースの特性とは似ているかもしれませんが、似ていながらも対局にあるものです。
階段垂直マラソンでは足の動きは単調になります。人間というものは面白いもので、そのような状態になると自分の内面と向き合うことになります。もう足を上げたくないという弱い自分と、歩かないように自分を叱咤する自分。
思考はどんどん自分の内側に向いていきます。
マラソンやトレランでは、どうしても周りの景色や足場のコンディションを気にしなくてはいけませんので、自分と向き合うことなく42kmが終わってしまうことがあります。
もちろんそれが悪いことではなく、マラソンと階段垂直マラソンが本質的に違うのだとお伝えしたいだけです。どちらも自分の体だけが武器という意味では同じでも、見えてくるもの考えることがまったく違います。
だからこそ多くのランナーがハルカススカイランのような階段垂直マラソンにハマっていきます。そして愚かにもこうやって連載記事にまでしようとするランナーが出てくるわけです。
階段レースに出場した人のブログなどを読んでいると、ほとんどの人が普段の記事よりもテンションが高めになっています。階段ジャンキー状態になって、また新たな階段を追い求めて、見つけた大会にエントリーすることになります。
苦しいだけでなく、いや苦しいからこそまた走りたくなる。
うまく走れなかったら「次回こそは」になり、いいタイムが出ると「練習すればもっと違う景色が見れる」となります。もちろん一部の人は「2度とやらない」になりますが、そのほとんどが普段走っていない人たちです。
ランナーであれば、高確率でハマってしまいます。
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そろそろ今年のハルカススカイランのエントリーについて発表されそうな時期になってきました。RUNNING STREET 365でも開催が決定したらご案内いたしますが、気になる人は、HPやSNSをしっかりチェックしておきましょう。
ワールドツアーのスケジュールとしては11月4日開催になっていますので、開催日は確定と考えていいかと思います。まずはこの日のスケジュール確保をしておきましょう。
ハルカススカイランHP
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