夏マラソンが難しい理由と秋マラソンの走り方

1週間前の日曜日に北海道マラソンが開催されました。北海道マラソンといえば30℃を超える気温の中を駆け抜ける過酷なマラソンという印象が強いかもしれませんが、2019年はスタート時の気温は18℃。近年まれに見るベストコンディションでした。

だとすれば、ほとんどのランナーが好記録を期待できそうですが、SNSなどでチェックしてみると「思ったようなタイムにならなかった」というランナーの声が多く見つかります。

気温が低くて走りやすいはずなのに、なぜ結果につながらなかったのか。そこに秋マラソンで結果を出すためのヒントが隠されています。ここでは、なぜ夏マラソンが難しいかについて説明し、秋マラソンをどう走るべきかについてお伝えしていきます。

目次

気温20℃はベストコンディションではない

北海道マラソンのスタート時には気温が18℃でしたが、レースが進むにつれて気温が上がり、最終的には22.1℃を記録しています。一見するとベストコンディションに思えますが、北海道マラソンにおいて良い気温というだけで、マラソンを走るには気温は高めです。

例えば2019年の東京マラソンは雨の中での開催になりましたが、最高気温は8℃しかありません。これは極端な例ではありますが、フルマラソンにおけるベストコンディションは10℃前後と言われています。

単純に最適な気温から10℃以上も高かったことになります。

気温が高いとなぜいけないのか。それは気温が体温や心拍数に影響するからです。大雑把な計算ですが、気温が10℃上がると心拍数が10近く上がります。心拍数が上がるということは、簡単に最大心拍数に到達してしまいます。

いつもは100の力を出さないと到達しない心拍数に、それよりも少ない力で到達することになります。気温が高いからといって体が耐えられる最大心拍数一緒に上がるわけではないので、いつもほど頑張ってないのに心肺機能に負荷がかかるわけです。

さらに、気温が高いので体を冷やすことができません。体温がどんどん上がっていくのに、空気が温いから空冷できないわけです。10℃の空気で冷やすのと20℃の空気で冷やすのとどちらが効率いいかは言うまでもありません。

要するに、そもそも20℃という気温でベストパフォーマンスを出すことが不可能なわけです。今回の北海道マラソンはスタート前から小雨が降ったことで、体は冬マラソンくらいの感覚になり、前半に飛ばしてしまった人が多かったのでしょう。

その感覚を太陽が顔を出してからも続けてしまい、結果的にオーバーペースになってしまったということが失速の原因として考えられます。


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夏マラソンではまだ体ができあがっていない

マラソンは準備のスポーツです。一般的な考え方としては、距離を踏んでしっかり走れるだけの土台を作り、その上に心肺機能を高めるトレーニングを積み重ねます。

土台作りには2ヶ月程度かかり、心肺機能を高めるトレーニングも同様です。そうなると逆算して、4月にはトレーニングを始めなくてはいけません。でも、ほとんどのランナーは4月からシーズンオフに入ります。

意識の高いランナーでも7月から走り込みを始めるのではないでしょうか。7月8月に距離を踏んで、9月10月でスピード練習。11月から12月のレースに向けてコンディションを整えていくのがひとつのサイクルです。

仮に7月から距離を踏めれば、8月末にはフルマラソンを走れる体はできていますが、心肺機能が鍛えられていませんのでスピードを出すことができません。そこに気温の高さも重なりますので、自分の理想のペースからかなり落とさなくてはいけません。

ところが、ランナーは自分の完走したいタイムからペースを逆算します。そして、ペースを守って走ろうとします。

その完走したいタイムがきちんと気温や自分の体調まで考えられているものならいいのですが、どうしても冬マラソンのベストタイムに引きずられてしまいます。要するに当てずっぽうで、速すぎるペースになっています。

これではどうしても「思うように走れない」となってしまいます。そもそも想定ペースが間違っているのですから。

走り込みができていてもそうなのですから、「夏は暑くて距離を伸ばせない」と走り込みをしなかったランナーが苦しむことになるのは当然のことです。基本的に8月に体ができている市民ランナーはほとんどいません。

もっとも北海道在住の方なら、長い冬が終わってようやく走れるようになるのが4月でしょうから、そこから距離を踏んで北海道マラソンに向けての調整ができますので、今回は走りやすかったかもしれません。

夏マラソンは、そこに向けての体力づくり、スピード練習をきちんと計画的に行っていないと結果には繋がりません。そこに夏マラソンの難しさがあります。

秋マラソンも夏マラソンと同じ問題がある

夏マラソンでなぜ思い通りに走れないかをお伝えしましたが、実はこれはそのまま秋マラソンも同じことが言えます。秋マラソンも10月開催ですと気温が25℃を超えるようなこともあります。

このため、やはり心拍数が上がりやすくてスピードを出せないという問題があります。もし気温が15℃以下なら自己ベストを狙いに行ってもいいのですが、20℃を超えるようなレースなら、それは無謀な挑戦になります。

もちろん、人によっては20℃以上の気温でも自己ベスト更新はできます。でも統計的に考えれば、それは少数派です。自信を持つのはいいことですが、マラソンにおいて過信は禁物です。

さらに、秋マラソンでも「まだ体ができていない」という問題があります。もし夏場に距離を踏むことができているなら、11月〜12月のレースで勝負することは可能ですが、秋になって本格的な練習を開始するというのでは、秋レースを走れる体には仕上がりません。

もし夏場の走行距離がそれほどなく、これから走り込むというのであれば、メインレースは秋ではなく冬に持っていくのが理想です。秋マラソンは冬の本番に向けた調整レースと考えましょう。

秋マラソンはどう走るべきか

結局のところ秋マラソンはどう走るべきか。

考え方としてはペース設定をしないことです。決めたペースで走るのではなく、体の声を聞いて無理のないペースで走れば、後半に大失速することは防げます。それでもペースが気になるのがランナーですよね。

思い切ってGPSランニングウォッチを外して、スタートラインに立ってみてください。そうすれば頼れるものは自分の感覚だけです。

GPSランニングウォッチを忘れてレースに挑んだら、自己ベスト更新したというのはよく聞く話です。ペースに縛られずに自分の感覚を信じて走った結果、最後まで走り抜くことができたわけです。

秋マラソンは気温が30℃近くになることもあれば、気温がぐんと下がって15℃以下になることもあります。このため、走ってみないとその日の正しいペースは分かりません。なのに走り出す前にペースを決めてしまうというのが、失敗レースによくあるパターンです。

もちろん、そこまでにしっかりと体を作り上げることも重要です。マラソンのタイムはその日の頑張りではなく、スタートラインに立つまでの過程で決まります。

もう9月に入ってしまいますが、秋レースで結果を出したいランナーは、しっかり練習を積み重ねて、レース本番はGPSランニングウォッチが表示するペースではなく、自分の感覚を信じて走ってみましょう。


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