スポーツドリンクはなぜ甘いのか【給水の本質を知ろう】

「スポーツドリンクは甘いから苦手」そういうランナーも多いかと思います。正直なところ、好きか嫌いかでいえば私もスポーツドリンクは好きではありません。給水だけを考えたなら水と塩の組み合わせで十分ではないかと思っていたこともありました。

でもスポーツドリンクはその甘さにこそ給水の本質が隠されています。その本質を知るとスポーツドリンクの甘さも「仕方ないかな」くらいには思えるはずですので、ここでは「スポーツドリンクはなぜ甘いのか」というテーマでお話していきます。

目次

スポーツドリンクにはどれくらいの糖分が含まれているか

まずはスポーツドリンクにどれくらい甘いのか、その糖分について見ていきましょう。ここではよく飲まれているポカリスエットとアクエリアスを参考に見ていきましょう。

●ポカリスエット(100ml)
【栄養成分】
エネルギー:25kcal
タンパク質:0g
脂質:0g
炭水化物:6.2g
食塩相当量:0.12g
カリウム:20mg
カルシウム:2mg
マグネシウム:0.6mg

【原材料】
砂糖(国内製造)、果糖ぶどう糖液糖、果汁、食塩/酸味料、香料、塩化K、乳酸Ca、調味料(アミノ酸)、塩化Mg、酸化防止剤(ビタミンC)

●アクエリアス(100ml)
【栄養成分】
エネルギー:19kcal
タンパク質:0g
脂質:0g
炭水化物:4.7g
食塩相当量:0.1g
カリウム:8mg
マグネシウム:1.2mg
アルギニン:25mg
イソロイシン:1mg
バリン:1mg
ロイシン:0.5mg

【原材料】
果糖ぶどう糖液糖、塩化Na/クエン酸、香料、クエン酸Na、アルギニン、塩化K、硫酸Mg、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(スクラロース)、イソロイシン、バリン、ロイシン

ポカリスエットは砂糖、アクエリアスは果糖ぶどう糖液糖になっています。果糖ぶどう糖液糖はとうもろこしのデンプンが原料になります。砂糖は100gで384kcalありますので、ポカリスエットには約6.5gの砂糖が使われています。小さじ2くらいの量です。

アクエリアスは果糖ぶどう糖液糖ですのでイメージが難しいかもしれませんが、ポカリスエットよりもカロリーが低いことから、使われている糖分はポカリスエットよりもやや少なめで、砂糖換算すると小さじ1.5〜2程度です。

これを多いと感じるかどうかは、人によって違うかもしれませんが、100mlで20kcalしかないのでランニング中のエネルギー補給と考えると、まったく足りません。ではなぜ「甘くて嫌だ」と言われながらも砂糖を入れているのでしょう?

糖を一緒に摂取すると吸収が早まる

水分補給には水だけでなくナトリウムも必要だというのは、ほとんどのランナーがすでに知っているかと思います。汗でミネラルが体内から抜けるというのがその理由で、世界中のスポーツ団体が0.5〜0.7g/Lのミネラル添加を推奨しています。

そしてあまり知られていませんが、同じくどのスポーツ団体も糖質の添加を推奨しています。日本体育協会の推奨値としては「1時間以上の運動をする場合には4〜8%の糖質」となっています。スポーツドリンクは飲みやすさのために甘くしているのではなく、必要があって甘くなっているわけです。

ではなぜ必要なのか。

最新の研究で果糖とぶどう糖が含まれる水分は、より早く体内に吸収されることがわかっています。果糖とぶどう糖というのがポイントで、果糖だけですと水を飲むよりも吸収が遅くなることも分かっています。いずれにしても、スポーツドリンクが甘いのは、より吸収を早めるためだったわけです。

もちろん経口補水液を飲むという選択肢もあるので、スポーツドリンクだけが正解というわけではありません。でもスポーツドリンクのほうが安くて入手性もいいですよね。どこでも手に入るという意味ではスポーツドリンクは最高の給水ドリンクというわけです。

ちなみにスポーツドリンクは吸収速度が最適化されているドリンクですので、薄めて飲むのはおすすめしません。それだけ糖分の割合もミネラルの割合も減ってしまいます。水よりはマシですが、基本的には薄めずに飲みましょう。

糖は水分保持にも役立つ

糖は体内に取り込まれるとグリコーゲンとして肝臓に貯蔵されます。このグリコーゲンが貯蔵されるとき4倍の水分が必要となります。10gのグリコーゲンを貯蔵するのに40gの水分が必要になるわけですが、結果的に体内の水分保持の役割も果たします。

糖質制限ダイエットをすると体重が一気に落ちますが、あれは実際には体内のグリコーゲンと一緒に水分も落ちているだけです。糖質制限の良し悪しはここでは問いませんが、このグリコーゲンと水分の関係だけは頭に入れておいてください。

スポーツドリンクには水分保持の役割があるわけですから、レース後など大量に汗をかいたあとなどの補給にも適しています。せっかく補給しても体内に水分がとどまらず排泄されたら意味がありませんよね。スポーツドリンクなら長時間体内に水分を留めてくれるので、レース後の脱水症も防げるわけです。

まとめ

スポーツドリンクがなぜ甘いのか。その理由がわかれば、好き嫌いは別としてマラソンの途中での給水に利用しようかなという気持ちになったかと思います。体に良いか悪いかという問題はありますが、スポーツドリンクの甘さはきちんと意味があります。

とはいえ1度にがぶ飲みをするというような給水でも効果が薄れてしまいます。マラソンのときはエイドごとに1〜2口ずつ飲んで、少しずつの補給を心掛けましょう。そうすることで苦手な甘さもそれほど感じなくて済むはずです。

また、これからの季節は脱水症のリスクが高まりますので、汗を大量にかいた後は、できるだけスポーツドリンクもしくは経口補水液で水分補給を行いましょう。自分の体についてよく知りケアをすること。それも含めてマラソンですので、賢いランナーを目指しましょう。

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