日本一早いマラソンレポート「第15回はだの丹沢水無川マラソン」

全国各地でマラソン大会が開催されたこの日、神奈川の秦野市でもハーフマラソン大会「第15回はだの丹沢水無川マラソン」が開催されました。20キロも離れない場所で湘南国際マラソンが開催されていましたが、参加者の視線の先にあるのは相模湾ではなく丹沢の山。

はだの丹沢水無川マラソンは170m近い高低差を駆け上がるハーフマラソンで、記録を狙うにはやや難しい大会でもあります。神奈川の西部で開催される大会は、このような高低差のある難コースを持つ大会が多く、参加ランナーを徹底的にいじめてきます。

そんな苦しい思いをするのにもかかわらず、どの大会もリピーターが多く、はだの丹沢水無川マラソンも人気の高いマラソン大会です。その理由は大会の雰囲気の良さや、驚くほどスムーズな動線にあるのかもしれません。大会会場にいると、いかによく考えられた大会なのかがひしひしと伝わってきます。

繰り返しになりますが、コースはかなり厳しめです。アップダウンだけでなく、5キロの関門が30分に設定されていますので、キロ6分で最初の5キロを走らなくてはいけません。最後尾で3分程度のスタートロスがあると思うと、後方スタートのランナーはもっと速く走らなくてはいけません。

それくらいのレベルにないとこのコースには相応しくないということなのかもしれません。持ちタイムが速いランナーなら、キロ6分は難しくはないかもしれませんが、フルマラソンをなんとか完走できるというレベルのランナーには、かなり焦らされるペースです。

その5kmの関門を超えたところで、14.7kmに1時間40分の関門が次に待ち受けています。かなりのアップダウンを走りますので、この関門を超えていくのも簡単ではありません。

厳しい部分ばかり強調しても、「出場したくない大会」という印象を与えてしまいかねないので、魅力的な部分もお伝えしておきましょう。

最大の魅力は丹沢の麓を走れるという点にあります。この季節は紅葉も終わりに近づくタイミングですが、自然のキャンパスに描かれた秋色のアートを楽しむことができます。秋つながりというわけではありませんが、大会会場では焼き芋や地元で採れたサツマイモの販売もあります。

苦しいコースではありますが、残り5キロはひたすら下りです(ゴール直前で少し上りますが)。筋力が残っていないと、楽しむどころではありませんが、しっかりトレーニングを積んできたランナーなら、ハーフマラソンの後半とは思えないペースで走ることができます。

そういう意味では、冬マラソンに向けて、足にしっかり負荷をかけておきたいというランナーにおすすめの大会です。上り坂で心肺機能に負荷をかけて、下り坂で足腰に負荷をかける。1週間は筋肉痛を引っ張りそうですが、かなりハイレベルなトレーニング効果が期待できるはずです。

もちろん、本気で追い込んで順位を表彰台を狙うというのもおすすめです。ハーフマラソンの定員は2500人ですが、10代ごとに年代別の表彰があります。他の大会でなかなか入賞できないというランナーでも、はだの丹沢水無川マラソンなら思わぬ順位で表彰してもらえるかもしれません。

ランナーとして走っているからには1度くらい表彰されたい。そんなシリアスランナーなら、はだの丹沢水無川マラソンでの入賞を目指すというのも、いい目標になるかもしれません。

運営そのものはとてもスムーズですし、この規模の大会では信じられないくらい飲食ブースが充実しているのも嬉しいところです。秦野駅も渋沢駅も飲食店が多いとは言えず、打ち上げをするのにはあまり向いていません。それを考慮してか、会場内で全国のグルメを楽しめますし、価格もお手頃に設定されています。

今年は気温が高かったので、レース後に広場でゆっくりとくつろぎながら、あれこれ食べるのにちょうどよかったかもしれません。ランナーには無料の豚汁が配られますが、個人的におすすめなのが岩手県人会の「すいとん」です。もしはだの丹沢水無川マラソンに出場することがあるなら、ぜひご購入ください。

大きなマラソン大会にはお祭りのような楽しさがありますが、このようなローカルな大会にも魅力がたくさんあります。自己ベスト更新だけを目指すのであれば、フラットで走りやすいコースのマラソン大会がおすすめです。でも、速さだけを求める挑戦ってもったいなくないですか?

せっかく走れるのだから、厳しいコースも含めて様々なコースを走ってみませんか?はだの丹沢水無川マラソンは、挑戦しがいのあるコースがあり、盛り上がりも十分な大会です。秦野までの神奈川在住でないと、アクセスがよくありませんが、長い時間をかけて参加するだけの価値はあります。

来年のスケジュールがわかりませんが、横浜マラソンの抽選落ちや湘南国際マラソンのクリック合戦に負けたら、はだの丹沢水無川マラソンいかがでしょう?地元の野球少年たちが喉を枯らしながら、全力でサポートしてくれますよ。

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