日本一早いマラソンレポート「第19回ハイテクマラソン」

「ハイテクマラソン」と言うよりは「谷川真理ハーフマラソン」と言う方が、多くのランナーにはしっくりくるのではないでしょうか。谷川真理さんが運営に関わっていたのは2015年までですので、ハイテクマラソン単体での開催は今回で3回目です。

これからゆっくりと時間をかけて「ハイテクマラソン」が定着していくのでしょう。マラソン大会の運営にはいろいろと苦労があると思いますが、谷川真理さんの元気な姿をこの大会で見られないのは少し寂しさもあります。

それでも1万人が集まる大規模なハーフマラソン大会であることには、変わりありません。1万人も河川敷を走りますので、大渋滞をイメージしている人もいるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。

ハイテクマラソンは、コースが上流と下流に分かれています。スタートはそれぞれの位置を少しずらし、ゴールは共通のものを使います。上流と下流で条件がやや違いますが、河川敷のフラットなコースであることには違いありません。

さらにウェーブスタートを採用し、上流コースと下流コースをそれぞれ3つのブロックに分けて15分毎にスタートします。1つのブロックに1600人くらいいるわけですから、それなりには混雑しますが、走力がそれぞれ近いので、無理に抜いていく必要はありません。

上流と下流でコースが同じようなものだと紹介しましたが、実はこの日のコンディションによって、上流と下流ではまったく違う表情のコースになっていました。低い気温と冷たい北風。雲ひとつない青空でしたので、日差しは強めです。

上流コースは前半が向かい風で、下流コースはその反対に後半が向かい風です。上流コースは前半で体力を削られますが、後半は追い風になります。下流コースは前半にオーバーペースになり、後半に心を折られそうになります。

どちらがいいかはランナーごとに違いますが、猫ひろしさんなどのゲストランナーはすべて上流コースからのスタートです。記録が出やすいのはおそらく上流コースだったのではないかと想定できます。

とはいえ、上位争いをするランナーでもなければ、上流コースなのか下流コースなのかは大した問題ではありません。この日のために積み重ねてきた練習の成果を出すことができるのかどうか。市民ランナーにとってはこれが重要です。

ウェーブスタートにはなっていましたが、トイレはスタートブロックを考慮されていませんので、自分の時間通りにスタートできないランナーさんがそれなりの数いました。これはもう不運としか言いようがありません。

仮設トイレを利用する大型の大会では、かなり早めにトイレに行くのが基本ですが、早く行き過ぎて体が冷えてまたトイレに行きたくなったランナーもいたかと思います。スタート前に水分をできるだけ摂らない。これくらいしか対処方法はありません。

河川敷コースですが、コースをすべてマラソンで専有しているわけではありません。自転車が走っていますし、近所の人たちがいつものジョギングコースとしても利用しています。そしてコース幅はそれほど広くありません。

走力はそれぞれ近いはずですので、慌てる必要はないのですが、混雑している状態に不安を感じてしまうと、ついつい無理な追い抜きをしたくなります。そういうときに経験の差が出てきます。

若い人ほど無理に前に出て、後半に足を使い切って撃沈しがちです。

さらにハイテクマラソンは、日本でもハイレベルのハーフマラソンです。今年は1時間10分以内に30人ものランナーがゴールしました。いつもは余裕で優勝できているような人でも、入賞すら出来なかったりします。

そういうレースでは全体のスピードが速くなります。そこで引っ張ってもらい、最後まで粘れが自己ベスト更新となりますが、実力以上のスピードで走り出してしまうと、徐々にペースが落ちて苦しくなります。

冷静さをどれだけ維持できるのか。トップランナーに限らず、ハイテクマラソンで結果を出すには、そういう一面も求められます。

第2ブロック、第3ブロックになると今度は引っ張ってくれる存在がいなくなります。これまで先頭を走ったことのないような人たちが、引張り役にならなくてはいけません。いい経験にはなりますが、それはそれでレースが難しくなります。

さらに年末年始に忘年会や新年会などがあっても走る時間を確保していないと、悪い結果に繋がります。新年明けてまだ半月も経過していません。年末をどう過ごしたのか、ハイテクマラソンに限らず1月のマラソン大会にはそういうものがあからさまに出てきます。

それでもやっぱり関東圏からアクセスしやすく、安心の運営をしてくれる公認大会ですので、1万人は簡単に集まります。これを走らないと1年が始まった気がしないというようなランナーさんもいるのではないでしょうか。

今年のハイテクマラソンは「山組」vs「ロード組」という構図で、トレイルのトップランナーとロードのトップランナーの合計タイムを競うという企画も行われていました。

これはとても面白い取り組みでしたが、最後まで興味を持って見ていた人は少なく、そもそも興味すら持っていない人もいました。これはちょっともったいないことです。企画は魅力的なのに周知されていないことで、全体に埋もれてしまう。

もっともこれも「ハイテクマラソン」という名前と同じように、継続していけばいずれ定着するはずです。山組とロード組でウェアを揃えたり、少なくともゼッケンをひと目見ただけで「山」か「ロード」なのか分かるようになると、一緒に走っているランナーも声援を送りやすいかもしれません。

新しい取り組みも10年続ければ必ず文化になります。「山組」vs「ロード組」がハイテクマラソンの名物になるように、これからも改善しながら続けていってもらえれば、さらに注目される大会になるはずです。

厳しい言い方をすれば、今はまだ内輪で楽しんでいるだけの企画のようにも感じました。

1万人のランナーに共感してもらえる。1万人のランナーが結果が気になる。そういう企画になるために何をするか。それはきっとハイテクマラソンをより良くしていくために何をするのかという問いと同じ答えにつながるはずです。

今でも十分に魅力的な大会ですが、まだ「タニマリ」と呼ばれてしまう大会です。19年の歴史も軽んじることなく、それでいて現状維持に満足せずに新しいことにチャレンジし続ければ、そう遠くないうちに「ハイテク」と呼ばれるようになるはずです。

ちなみに最寄りの赤羽駅ではハイテクマラソンに合わせて、多くのお店が昼間から営業しています。打ち上げ場所には困りませんので、ラン仲間と一緒に新年会を兼ねての最初のレースとしてもおすすめです。

これまで走ったことのないランナーさんや、タニマリ時代から間が開いているといランナーさんは、ぜひ仲間を誘って、ハイテクマラソンを走ってみませんか?冬のフルマラソンシーズン前の調整レースにもなりますので、気持ちよく新春の河川敷を駆け抜けてみましょう。

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