【アディゼロ対決】リレーマラソンで「TAKUMI SEN 8」と「ADIOS PRO 2」を徹底比較してみた

アディダスのレーシングシューズには、「アディゼロ タクミ セン 8」と「アディゼロ アディオス プロ 2」の2種類がラインナップされています。アディダスとしては「アディゼロ アディオス プロ 2」がフルマラソン用、「アディゼロ タクミ セン 8」がハーフマラソンより短い距離用としています。

ただ、両者の違いがいまいちわからないという人もいて、どちらを選べばいいのか迷っている人もいるかと思います。今回はリレーマラソンに参加する機会があり、2.5kmのコースを2回走ることになったので、この2つのシューズを履き比べてみました。そこで感じた両者の違いを徹底解説していきます。

目次

第2回さがみ湖さくらラン in プレジャーフォレストで比較

今回の比較テストは以前レポートした「第2回さがみ湖さくらラン in プレジャーフォレスト」で行いました。リレーメンバーとして参加して、1周2.5kmのアップダウンが激しいコースを2回走ることになっていたので、1回ずつ別のシューズを履いて比較してみることに。

シューズスペックと実際のタイムを表にまとめましたので、チェックしていきましょう。

ADIOS PRO 2TAKUMI SEN 8
レースタイム10分5秒10分8秒
最大ピッチ222spm224spm
最速ペース3分18秒/km3分18秒/km
重さ(25.5cm実測値)203g174g
ソールスペックドロップ:10mm
ヒール:39.5mm / 前足部29.5 mm
ドロップ:6mm
ヒール:33mm / 前足部:27mm
価格26,000円(税込)20,000円(税込)

1本目は「アディゼロ アディオス プロ 2」、2本目に「アディゼロ タクミ セン 8」を履いたのですが、アップダウンが激しいテクニカルなコースだったのもあり、正直なところ1本目で足は売り切れ状態で、2本目はスタートから足がまったく上がらない状態です。

このため、タイムは「アディゼロ アディオス プロ 2」に軍配が上がっていますが、ここではタイムの比較はまったく意味がありません。むしろグリコーゲンを消耗した状態での2本目が3秒しか変わらないなら、シューズポテンシャルは「アディゼロ タクミ セン 8」のほうが優れています。

実際に走った感覚としても「アディゼロ タクミ セン 8」のほうが走りやすく、3本目があったなら間違いなく「アディゼロ タクミ セン 8」を履いていました。ただここで重要なのは両者の違い。なぜ「アディゼロ タクミ セン 8」のほうが走りやすかったのか、「アディゼロ アディオス プロ 2」のどこに課題を感じたのかを説明していきます。

クッション性重視の「アディゼロ アディオス プロ 2」

まずは1本目に履いた「アディゼロ アディオス プロ 2」。すでにトップランナーも履いてフルマラソンで結果を出しているランニングシューズですので、そのポテンシャルを疑う人はいないかと思います。とても高いクッション性があり、急な下り坂でも衝撃を確実に吸収してくれます。

ただし、今回のような短い距離を走る場合には、そのクッション性はロスになります。「アディゼロ アディオス プロ 2」は反発力が高いシューズですが、それでも厚底で着地した衝撃をすべて反発力に変えられるわけではありません。ある程度はどうしてもロスします。

そしてピッチを上げたときには、シューズの反発のタイミングが遅いように感じます。表現は悪くなりますが「もっさり」とした感じ。もちろんそれは、フルマラソンのペースよりも速く走ろうとしたときに感じることで、スピードを落とせばしっかりと反発を感じながら走れます。

「アディゼロ アディオス プロ 2」はキロ3分前後(もしくはフルマラソンペース)で走ることに最適化されており、それ以上を出すことを想定していません。むしろそのペースを42.195km維持するために、しっかりとクッション性を高めて、足を衝撃から守ってくれるわけです。

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圧倒的な追従性の「アディゼロ タクミ セン 8」

「アディゼロ タクミ セン 8」のシューズレビューでも書きましたが、このランニングシューズの特徴は追従性の高さにあります。まるで皮膚のようにアッパーがしっかりと足の甲に貼り付くため、足との一体感があり、簡単に回転数を上げられます。

足がパンパンになっていたので、スピードに乗り切ることができませんでしたが、最大ピッチは「アディゼロ タクミ セン 8」のほうがわずかながら高いことからもわかりますように、「アディゼロ アディオス プロ 2」よりも速く足を回せます。

「アディゼロ アディオス プロ 2」のように沈み込む感覚もなく、地面との接地時間を最小限に抑えられ、さらに追従性が高いのもあってスピードを出せるということなのでしょう。ただ沈み込みがないということは、それだけ衝撃吸収力が弱いということ。

フルマラソンで履いたときには、後半になると疲労が蓄積して失速する可能性があります。しかもスピードを出しやすいのでオーバーペースになりやすいという問題もあります。フルマラソンは速く走れればいいというわけではなく、程よいペース設定が大事だということは、ランナーであれば理解できるかと思います。

「アディゼロ タクミ セン 8」はスピードを出せますが、フルマラソンで必要なスピードを簡単に超えてしまうため、ハーフマラソンよりも短い距離でのレース用としているわけです。

クッション性を必要とするかで使い分けよう

ここまでの内容で「アディゼロ タクミ セン 8」と「アディゼロ アディオス プロ 2」それぞれの違いを把握してもらえたかと思います。いずれもスピードを出せるレーシングシューズですが、利用に適したシーンが明確に異なります。

クッション性・必要:アディゼロ アディオス プロ 2
クッション性・不要:アディゼロ タクミ セン 8

基本的な考え方としては、クッション性が必要かどうかで判断してください。フルマラソンやウルトラマラソン、旅ランのように長い距離で足に負担をかけずに走りたい場合には「アディゼロ アディオス プロ 2」。足に疲労が溜まる前に走り終えるなら「アディゼロ タクミ セン 8」といった感じに使い分けしましょう。

もちろん「アディゼロ タクミ セン 8」でフルマラソンを走れないわけではありません。ただオーバーペースになりやすく、さらに後半には足が動かなくなりやすいといった特性を頭に入れておく必要があります。そう考えるとハーフマラソンよりも短い距離のレースや、心肺機能向上のためのポイント練習におすすめです。

反対に「アディゼロ アディオス プロ 2」は足に優しいので、インターバルなどの追い込む系のポイント練習(足を消耗させる練習)にはあまり適していません。もちろん使えないわけではなく、より高いトレーニング効果を得たいならという話です。

なんとなくで選ぶのではなく、きちんとそれぞれの特徴を把握して、自分の用途に合わせて選びましょう。

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