山形県には人気のハーフマラソンがいくつもありますが、その中でも全国にファンがいるのが、「将棋の町」天童市で開催される天童ラ・フランスマラソンです。
昨年までは3km、5km、ハーフマラソンの3種目で開催されていましたが、2019年からは10kmも加わり、選択肢が広がっています。
ハーフマラソンの制限時間は3時間もありますが、前半は山裾を走るアップダウンが多いコース設定になっているため、走力が不足している人には厳しく、かといって5kmでは物足りないという声がたくさんあったのでしょう。
参加者が年々増えている理由は、こういったように、参加者の声をきちんと取り入れているところにあるのかもしれません。毎年新しいチャレンジを行っていて、ランナーはマンネリ化することなく天童ラ・フランスマラソンに参加できます。
10kmが加わったとはいえ、人気が高いのはハーフマラソンです。累積高低差がかなりあるので、コースはかなり厳しく、楽に走り切ることはできません。それなりに走り込んでいるランナーでなければ、後半に大失速しかねません。
単純に考えると、そういうコースをランナーは避けるように思ますが、マラソンは苦しみがあるから楽しく感じることができます。タイムが出るだけの単調なフラットコースではランナーは満足してくれません。
それを意識しているのかどうかはわかりませんが、天童ラ・フランスマラソンは21kmの区間でコース風景が目まぐるしく変わり、ランナーが飽きることなく最期まで走りきれるという魅力もあります。
天童ラ・フランスマラソンのハーフマラソンはエイドの数が7ヶ所ありますが、コース設定の都合で第7エイドが往路第0エイドとなるため、実質8つのエイドがあります。さらに私設エイドまであります。
ほぼ2kmに1つのエイドがあり、公式エイドにはすべてラ・フランスが用意されています。「すべてのエイドを制覇する」というチャレンジをしたことがありましたが、ゴールするまでにお腹が膨れてしまい、大変な思いをしてゴールをしたことがあります。
それに加えて観光物産交流都市である網走市が蟹をエイドで出しています。ちなみにオホーツク網走マラソンでは、天童のフルーツエイドがあります。こうやってマラソンによって2つの地域が繋がっているのも天童ラ・フランスマラソンの面白いところです。
ハーフマラソンでここまで充実したエイドがある大会はなかなかありません。しかも、天童ラ・フランスマラソンは晴天に恵まれやすい大会です。気温の違いはありますが、基本的には晴天の日が多く気持ちよく走れます。
今年は3kmのスタート時には9.9℃というベストコンディションでしたが、ハーフマラソンのスタート時には14℃にまで上がり、やや高い気温の中でスタートになりましたが、曇り空かつ無風で走りやすい中でスタートとなりました。
競技場から出るところで少し渋滞になってしまいましたが、参加者に対しての道幅も十分にありますので、適切なブロックからスタートすればそれほどストレスを感じることもありません。
スタートからしばらくは緩やかな上り坂。そこからさらに1段上がりますが、序盤のアップダウンは力が残っているので、きちんと練習をしてきたランナーなら、問題なくクリアしていけます。
この区間は応援があまりありませんが、果樹畑の間を走ることができ、真っ赤に実ったりんごや、遠くに見える山の風景がモチベーションを高めてくれます。そして後半のフラットなコースで声援を受けながらベストを尽くす。
これくらい走りごたえのあるマラソン大会は、日本国内でもそれほど多くありません。
ただ、今回は10kmをハーフマラソンの30分後にスタートしたこともあり、ゴールをした後の記録証発行で大行列ができてしまうという問題がありました。ゴール後の流れで発行できるようになっていましたが、プリンタの数が間に合っていません。
室内での発行だったのもあって、人が多すぎて室内の酸素濃度がやや低い状態になっているなどの問題もありました。
ただ、このような点も必ず来年には改善されているはずです。それを期待できるほど天童ラ・フランスマラソンは運営がしっかりしています。今回のように新しいことをしたときのトラブルは仕方のないことです。
きっと来年は、私たちの思いもよらない方法で問題を解決してくれるでしょう。
もしかしたらRUNNETでの評価で、記録証発行の問題がマイナス評価になっているかもしれません。でもそれは参加をするための大きな障害にはならないと思ってもかまいません。
記録を狙うのは難しい大会ですが、天童ラ・フランスマラソンは高い満足感を得られる大会です。もし「ちょっと気になる」と思うのであれば、ぜひエントリーしてみてください。ちなみに、天童市へのふるさと納税でも参加できる大会ですので、参加費を抑えたいというランナーさんは覚えておくといいでしょう。