最高気温が連日35℃を記録していた日々はすでに過去となり、しだいに秋の香りが漂い始めました。ランナーはここから本格始動ということになるかと思います。練習量を増やしたいと思っている人もいますが、毎年そう思ったままシーズンが終わってしまうというのはよくある話。
継続したトレーニングが重要なのは分かっていても、走れない言い訳がいくつもあり、結局のところ三日坊主になってしまいます。でも、それって心が弱いのではなく、人間とはそういうものなのです。
だから、強い意思を持ってトレーニングを続けるのではなく、頑張らなくても続けられる状態に持っていく必要があります。その鍵を握るのが「習慣化」です。毎日歯を磨いたり、オフロに入ったりするかのようにトレーニングをする。
そういう状態になったら、走り出す理由も走らない理由もなくなります。毎日同じように走り続けるだけ。そうやって習慣化されたトレーニングが、マラソンで自己ベスト更新に繋がります。
そこで、ここでは自己ベスト更新と習慣化の関係や、トレーニングを習慣化するためのコツをご紹介します。
自己ベスト更新の鍵を握るのはトレーニングの習慣化
アスリートのためのSNSサービスを提供しているStravaの調査によると、同じフルマラソン大会を2年連続で走ったStrava利用者の内、2年目のレースでタイムを短縮できたランナーは、そうでないランナーよりもトレーニングの回数が20%向上していました。
少し難解な表現になってしまいました。分かりやすく言い換えましょう。「トレーニングの回数が増えれば記録更新しやすい」という結果が出ています。
ちなみに記録を更新したランナーの多くはトレーニング回数が増えていますが、追い込むトレーニングの割合は減っています。これまで走らないで休養に充てていた時間に、リカバリーランやジョギングという負荷のないトレーニングをするようになったということが分かります。
追い込むトレーニングを増やす必要はなく、一見すると意味のなさそうに思えるジョギングなども加えて、トレーニングを習慣化することが記録更新に繋がるということが、膨大な量のデータから分かっています。
さらには、タイムを短縮できたランナーは、ランニング以外の運動時間も増えていることが分かりました。いわゆるクロストレーニングと呼ばれるもので、走っているだけでなくサイクリングや水泳、筋トレなどの他の種目を取り入れた人ほど、タイム短縮を達成しています。
・記録更新のためには習慣化されたトレーニングが必要
・記録更新のためにはランニング以外の種目を行う
これが自己ベスト更新のための鍵になります。習慣化と他種目の2点はそれぞれ関連性がないように思えますが、実は習慣化とトレーニングの多様性には関連性があることも、Stravaの調査で分かっています。
幅広い種目が継続性を高める
Stravaの調査によると、Stravaにトレーニングの投稿日数が週平均5日だった人は、週平均2回だった人に比べて、過去1年間で運動をした週が2倍も多いということが分かりました。
これは当然といえば当然の結果ですが、トレーニングが習慣化されていないと、練習をサボりがちだということが統計データで明確になっています。
さらに2種目の投稿をしている人は、1種目だけ投稿している人と比べて、過去1年間で運動をした週が2倍多いという調査結果も出ています。4種目の投稿をしている人は、1種目だけの人の3倍近く運動していることも分かっています。
こちらも、表現が分かりにくいかもしれませんので、簡潔にまとめます。
・複数の種目に取り組むことでトレーニングを習慣化しやすくなる
様々な種目に取り組むことで、トレーニングに飽きることがなくなりますし、筋肉の負荷も分散できますので、ケガのリスクも下がります。そういう観点からも、ランニング以外の種目を取り入れることにとても重要になります。
習慣づけのコツはご褒美と競争心
かなり回りくどい言い回しになっていますが、とにかくトレーニングをなんとかして習慣化しなくてはいけません。そのために複数種目に取り組むという方法をご紹介しましたが。それだけではなかなか習慣化まではいきません。
南カリフォルニア大学の心理学およびビジネス学の教授であるウェンディ・ウッド氏によると、「習慣は同じ行動を繰り返し、ご褒美を得ることで身についていくものです」とのこと。
まるで犬の躾のような話ですが、犬も人間も根本の部分はそう違いはありません。トレーニングをしたことで、なんらかのご褒美を手に入れることができれば、習慣化はさらに近づきます。
それは例えば、トレーニング後のアイスクリームなどでもいいのですが、アスリートなら、食べ物ではなく記録向上というご褒美のほうが満足度が上がります。ランナーなら、トレーニング終わりに1km走をして、記録が向上していくのを実感するというのがいいかもしれません。
これは「進歩というご褒美」で、アスリートにとって極上のご褒美でもあります。
また、仲間と一緒に走ったり、仲間と競い合うというのも重要です。自分のランニング結果を共有できるStravaを使って、日々のトレーニングを公開しているアスリートの94%が9ヶ月以上の運動を継続しています。
実際に合わなくても、SNSで繋がっているだけでもお互いに刺激し合うことができます。「あいつがこんなにも走ったなら、自分はもっと走ろう」といった感じに競争心が煽られ、モチベーションアップにつながります。
そういう意味でStravaはトレーニングを習慣化させるのに、とても効果的なサービスであり、1人でも多くのランナーに利用してもらいたいサービスです。Stravaに関しては別記事がありますので、ぜひそちらもご参照ください。
Strava「The Escape Plan」概要
ランニングのログ管理とSNS共有ができるということで、日本でもStravaを使っているランナーさんが徐々に増えています。そんなStravaには様々なチャレンジ機能があり、ランニングのモチベーションアップをサポートしてくれています。
ただ、それらのチャレンジ機能はすべて「ランニングで週◯キロ」「サイクリングで獲得標高◯メートル」といったもので、種目ごとに分断されていました。
でも、すでにお伝えしましたように、継続に大事なのはランニングだけをするのではなく、複合的にいくつもの運動を組み合わせることです。そこで、Stravaはまったく新しいチャレンジ機能として「The Escape Plan」を用意しました。
「The Escape Plan」は、週5日のアクティビティを4週間連続で続けるチャレンジで、行うアクティビティはStravaでログ可能な32種類すべてが対象となっています。このため月曜日はランニング、火曜日はサイクリング、水曜日はスイミングといった、違った種目でもいいということになります。
● 開催期間:2019年9月2日〜9月29日
● 4週連続で、週に5日間運動をする
● 種目はログを取れるものなら何でもいい
4週間を終えたとき、きっと運動をすることが特別なことではなく、あたり前のことになっているはずです。それは勝負レースに向けての、スタートラインに立ったということでもあります。
トレーニングの習慣化に成功していれば、あとはそれを継続していくだけで、自己ベスト更新が見えてきます。
自己ベスト更新に向けての第1歩として、まだStravaに登録していないという人は、ぜひStravaを使ってみてください。facebookアカウントを使って登録できますので、すぐに始めることができます。
ちなみに、RUNNING STREET 365のクラブも用意していますので、クラブに入っていただければ、その中で競い合うこともできます。Stravaの登録をされたらぜひ下記リンク先のクラブに入って、多くのランナーと一緒にトレーニングの習慣化を目指しましょう。