日本一早いマラソンレポート「第6回 はが路ふれあいマラソン」

栃木で開催されるはが路ふれあいマラソンは、とにかく評価が高く気になるマラソン大会のひとつです。なぜ、そんなにも人気があるのか知りたくなり、実際に走ってみることにしました。でも、走るまでもなく開会式や大会会場の雰囲気からわかりました。

控えめに言って「これは最高の大会」だと。

とはいえ、それだけでは伝わらないので、実際に走って感じたことなども含めてご紹介していきます。大都市マラソンとはまったく違う方向性のこのマラソン大会に、なぜ全国からランナーが集まるのか、その理由について知っておくといいかもしれません。

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目次

はが路ふれあいマラソンはフルマラソンのみ

はが路ふれあいマラソンの種目はフルマラソンしかありません。参加者数は2500人ですが、大会のキャパシティとしては4000人くらいは受け入れることができるように感じます。でも、おそらく意図的にそれをしていません。

キャパシティに対して、余裕を持たせることで、運営に無理が生じないようにしているように感じます。自分たちの能力を冷静に見極めて、なおかつそこにバッファを設けることで、あらゆる部分でゆとりが出てきます。

要望としては短い距離も用意して欲しいと言われているかもしれませんが、それをすることで、大会の質が下がるリスクがかなり高くなります。例えばハーフマラソンを追加すると、単純に現在の1.5倍はスタッフやボランティアが必要になります。

多くのマラソン大会が、参加者数を増やして大会の規模を大きくしようとしているのに対して、はが路ふれあいマラソンはできるだけコンパクトな運営を目指しているように感じます。そこに、できないことはしないという潔さを感じます。

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平坦とは言えない難コース

大会の案内には比較的平坦なコースとなっていますが、おそらく栃木基準での「平坦」なのでしょう。そこそこアップダウンがあります。それも後半の疲れてきたところで、そこそこの上り下りが。ただし、長く続くわけではなく、グッと上がってグッと下がるメリハリのあるアップダウンです。

確かにコースのほとんどが平坦ですが、この所々にある坂道がなかなかの曲者で、2段坂になっている場所もあり、ランナーの足をジワジワと削っていきます。とはいえ、コース全体で見れば、走りにくさはほとんど感じません。

参加人数が少ないのもあり、道路は片側1車線の利用ですが早い段階でそれなりにバラけます。完走時間が4〜5時間というボリュームゾーンはそれなりに混雑したかもしれませんが、むしろそっちは集団で走れるので良かったかもしれません。

サブ3.5よりも前側は、ランナーよりも応援者のほうが多いという状況で、抜きつ抜かれつするので、周りは知った顔ばかりに。それはそれで面白いのですが、単独走になりやすくメンタルがかなり重要になります。

ただ、それもマラソンの魅力のひとつです。

大都市マラソンに慣れると、周りに常に人がいる状況で走ることになりますが、本来マラソンは孤独なスポーツです。自分と向き合いながら、体の声を聞いて微調整をしながらゴールを目指すわけで、はが路ふれあいマラソンならそれができます。

沿道の声援は途切れ途切れではありますが、1市4町の規模を考えると、ものすごく多くの人が沿道に出てきています。そして、知り合いだけだでなく、すべてのランナーに声援を送ってくれます。西日本の大会ならよくある光景なのですが、地元の人が声を出して、みんなに声援を送るという光景はそれほど多くはありません。

あの力強い声援に背中を押してもらった人もいるのではないでしょうか。もちろん私もその1人です。

充実のフルーツエイドでいちごと梨をまんきつ

栃木は全国有数のイチゴの生産地です。さらに芳賀町は梨の名産地ですので、エイドではこの2つを楽しむことができます。フルーツが出るという大会でも、ほんの少ししか用意されていないことが多々ありますが、はが路ふれあいマラソンは違います。

前半は給食がほとんどありませんが、20キロを超えたところから、イチゴと梨がこれでもかというくらい出てきます。おそらく私設エイドもあってのですが、私設も公設も地元の人たちが全力サービスをしてるので、違いがまったくわからないところもあります。

イチゴも梨も水分補給になりますが、エネルギーにはならないので、ちゃんとバナナやパンも出てきますし、後半はお汁粉やお味噌汁、蕎麦まで用意されています。サブ3.5の人たちはほとんど見向きもせずでしたが。

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はが路ふれあいマラソンはストレスがない大会

実際に走ってみて、最初に疑問を感じたのは「はが路ふれあいマラソンは、なぜこんなにもストレスがないのだろう」ということでした。どんな大会にも大なり小なりストレスになる部分があります。

例えばトイレの行列。はが路ふれあいマラソンも仮設トイレには行列がありましたが、参加者数が少ないので回転が早くそこまでストレスになることはありません。会場の井頭公園には常設トイレも設置されているので、そちらはガラガラだったりします。

これもキャパシティに余裕を持たせた結果なのかもしれません。同じくキャパシティに余裕があるから動線に無理が出ません。更衣室や飲食ブースなどのレイアウトは、決して最適な配置とは思えませんが、人でごった返さないから動線をほとんど意識せずに移動できます。

行きたい場所に行きたいように行ける。こういう大会はありそうでないものです。

スタッフ対応の距離感も見事でした。運営会社が四角四面に仕事をこなすのではなく、ランナーの立場になれる人たちが、ちょうどいい距離感でサポートしてくれます。これは栃木の人たちの県民性のようなものが影響しているのかもしれません。

近すぎず遠すぎない距離感や言葉使い。そういえば開会式の挨拶も、お偉いさんがしていましたがユーモアに溢れるものでしたし、何よりも本気でこの日を楽しみにしていたのが伝わってきます。はが路ふれあいマラソンに限らずですが、トップがやる気に満ちている大会で、雰囲気が悪くなる大会を私は知りません。

部下になる人たちは大変かと思いますが。

コースでのストレスもなく、スタートブロックは自己申告制ですが、無理に割り込む人はいません。遅れて来た人がいても、そっとブロックに入れてあげていたり。みんなが、気持ちよく走れるように協力しあっているようにも感じます。

ただひとつ。飲食ブースにビールがないのはもったいない……と個人的な思いですが、よく考えたら例年はもっと冷え込むので、ビールなんて誰も買わないのかもしれません。管理も大変ですので、終わってビールを飲みたい人は、更衣室上の「いがしら陽だまり亭」でいただくか、自分で用意しておくといいかもしれません。

はが路ふれあいマラソンはこれからも人気が高まり、クリック合戦が発生する可能性がある大会です。熾烈な争いになるかもしれないので、まだエントリーしやすい今のうちに走っておくことをおすすめします。東京マラソンのような華やかさはありませんが、充実したレース、充実した1日にはなることは間違いありません。

追伸

ひとつ伝え忘れました。はが路ふれあいマラソンでは荷物預けをプールのコインロッカーを使いますが、この利用料金100円は大会側から支給されます。こんなシステム聞いたことありません。コインロッカーの鍵は大会側が預かってくれるので走っているときにじゃまにならないという配慮まで。

こういうところが、人気の秘密なのでしょうね。

はが路フルマラソン公式サイト
http://www.hagaji-marathon.jp

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