日本一早いマラソンレポート「第4回 彩湖リレーマラソン2022」

東京マラソンが開催され、その流れに乗るわけではありませんが全国各地で予定通りにマラソン大会が再開されました。まだ大会によっては中止や延期を選んでいますが、ゆっくりとではあるものの私たちの元にマラソン大会が戻りつつあります。

RUNNING STREET 365でもご紹介した「第4回 彩湖リレーマラソン2022」も無事開催。この日はランレコードのブースという形で参加になりましたが、大会を俯瞰で見て感じたことなどをレポートしていきます。

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コロナ禍ということもあって参加チームは少なめ

こういうことは正直に伝えたほうがいいので濁さずに書きますが、今回の「第4回 彩湖リレーマラソン2022」は参加チームがかなり少なめ。正確に数えてはいませんが60チーム程度でしょうか。大会側が盛り上げようとしていたのもあり、写真ほどには寂しい感じにはなっていません。

ただ物理的に熱量の総数が足りていません。これはもう仕方のないことですが。この状況で参加者を募るというのは難しいですし、結果的に開催されたものの、多くのランナーが開催できるかどうか疑心暗鬼な状態にあるのでこれでも十分なくらい。

しかも当日は渋谷・表参道 Women’s Runと重なっており、そちらに出るから彩湖リレーマラソンにはエントリーできないという人もいたはずです。ただ集まったランナーの走力がかなり高く、キロ3分台で走る選手を揃えたチームもちらほら。

もっとも今回は順位やタイムよりも、仲間が集ったという事実が大事だったように感じました。少なくともここに集まった300名近いのランナーは、ランナー同士で集まってワイワイする日常を取り戻したわけです。あとはこの輪が少しずつ広まっていけばOK。

問題は主催者側が、その輪が広がるまで待てるかどうか。マラソン大会というのはランナーの参加費だけで開催できるわけではなく、主催者はスポンサーを募るなど、やらなくてはいけないことが無数にあって、そのモチベーションを保つのも簡単ではありません。

それは彩湖リレーマラソンに限ったことではなく、すべてのマラソン大会が抱えている苦労であり、ランナーが集まらないとその苦労が報われない気がして「もう無理」となってしまいます。もちろんそんなことは参加者からしたら、知ったことではない話かもしれませんが。

僕らには仲間と走るリレーマラソンが必要だ

リレーチーム全員で手を繋いでゴールテープを切る。2年前まではそれがあたり前の景色でしたが、それがあたり前ではないのだと気づかされたのがこの2年。彩湖に集まったランナー全員が、心から楽しめたかどうかはわかりませんが、少なくとも止まっていた時計がゆっくりと動き始めました。

個人で走るマラソン大会とリレーマラソン。ランナーとしてすることは同じですが、競技としてはまったく違うものです。マラソンはすべてが自分次第。がんばるのも諦めるのも自分に返ってきます。でもリレーマラソンはつなぐ仲間がいます。

リレーマラソンや駅伝は陸上競技では珍しい団体競技であり、自分以外の誰かのためにがんばる必要があります。自分のためじゃないから手を抜けない、そんな日本人の精神にフィットする競技でもあります。そう、リレーマラソンは諦めるという選択肢がない競技なのです。

そこに個人競技のマラソンとはまったく違った魅力があります。ただ、コロナ禍においてはマラソン大会とは違った、開催するための難しさがあります。これまでラン仲間の中心になって誘ってくれていた人の中にも、この2年で「もう取りまとめはしたくない」となった人も少なくないはず。

ただ、箱根駅伝に注目が集まることからもわかりますように、日本人は本質的に駅伝やリレーマラソンが好き。チームのために襷をつなぐことで、覚醒する選手がでてくるのは面白いものです。駅伝やリレーマラソンにしかない充実感もあります。

マラソン大会の魅力と仲間と走る楽しさ。これはランニングを盛り上げるための両輪。そして、今の私たちに足りていないのは仲間と一緒に走ることだというのが、大会に参加した人たちの姿を見て強く感じました。

参加者はみんな笑顔ですし、久しぶりに襷をつないで高揚しているようにも見えます。みんな心のどこかで、仲間と一緒に走れる状態に戻りたいという願望をずっと持ち続けて、ようやくそれが叶った1日になったわけです。

そろそろ仲間と走る楽しさを取り戻そう

リレーマラソンで大事なのは、仲間と一緒に走り、自分の限界を超えていくこと。自分だけでは頑張れないけど、仲間がいればがんばれる。彩湖リレーマラソンでは、参加者それぞれがそのことを思い出したのではないかと思います。

今回は参加チームが少なく、チームごとの走力のバラツキが大きかったのもあって、チーム同士が競い合うという雰囲気よりは、彩湖に集まったことを称え合うというような雰囲気があり、いつも以上に優しさを感じることができました。

他チームの最終ランナーを温かく迎えたり、他のチームのメンバーに声援を送ったり。純粋に自分以外の誰かを応援する。2年間もそういうことができなかったわけで、それが戻ってきたんだなとしみじみと実感。やっぱり走るっていいですね。

この喜びをもっと多くの人と共有できるにはまだ少し時間がかかるかもしれませんが、でも確実にいい方向には向いています。

彩湖リレーマラソンの次回は1年後ですが、それ以外にもきっとこれからいくつものリレーマラソンが大会を再開するはずです。まずは小規模での開催になるかと思いますが、そこから徐々に「仲間と走る」が広まっていくのを期待せずにはいられません。

チームを取りまとめる人はとにかく苦労ばかりになりますが、それだけ走り終えたときの達成感は大きいもの。実際に今回参加したチームはみんな、充実した表情で会場を後にしていました。きっとチームを取りまとめた人も、これまでにないやりがいを感じられたはずです。

襷をつなぐ。ただそれだけなのに、ラン仲間との絆が強くなる。彩湖リレーマラソンに参加した人たちは、コロナ禍で失われてしまったものを、ほんの少しだけかもしれませんが間違いなく取り戻せたことでしょう。

まだまだコロナ禍はどちらに転ぶかがわからない状況。また仲間と走れない状況になる可能性もあるかもしれませんが、彩湖リレーマラソンが開催となったのは明るい兆し。ここがある意味スタートライン。来年はもっと多くのランナーでにぎわっていることを期待したくなる1日でした。

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