日本一早いマラソンレポート「第13回湘南藤沢市民マラソン2023」

湘南藤沢市民マラソンはマラソン大会としては珍しく、メインとなる種目が10マイルのマラソン大会です。江ノ島を起点にして、海岸沿いの134号線のコースを2往復してから江ノ島に戻ります。湘南国際マラソンとコースの多くが重なりますが、マラソン大会としての立ち位置はまったく異なります。

湘南藤沢市民マラソンは「市民マラソン」であり、藤沢で暮らす市民のために開催しているということが伝わってくる大会です(参加枠の半数以上が市民枠)。もちろん藤沢市民以外も走れますが、地元を大切にし、地元で愛されている大会なんだということを沿道でレースを見守りながら強く感じました。

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スタート時間が早いから地元ランナーは参加しやすい

湘南藤沢市民マラソンのスタート時間は8:30です。1時間前に会場入りしようと思うと、7時から7時15分くらいに片瀬江ノ島駅などに着いていなくてはいけません。こんなにもスタート時間が早いのは国道134号線の封鎖による周辺道路の混雑をできるだけ避けるためだと考えられます。

冬とはいえ、国道134号線は湘南エリアの大動脈のひとつであり、できるだけ影響を小さくするために、早い時間に終わらせて封鎖を解除したいのでしょう。そうなると遠方からの参加は難しくなるわけですが、湘南エリアは月例マラソンが開催されるほどランナーが多いエリア。

藤沢市周辺のランナーだけでも十分に開催できるという読みがあり、そもそも「市民マラソン」は市民の健康促進ために開催するものだというスタンスがあるのでしょう。マラソン大会は経済効果も大きいので、遠方からの参加者もウェルカムとしたくなりますが、それで地元の人たちが不便な思いをしたのでは意味がありません。

スタート時間が早いので、家族がいるランナーもレースを走ってから自宅に戻り、お昼前から家族と一緒に過ごすということも可能です。家族や友人に沿道で応援してもらって、そのまま江ノ島でゆっくり過ごすのもいいでしょう。10マイルですので疲労もそこまでありませんから。

海岸沿いだけどフラットではない

海沿いを走るコースというと、比較的フラットなコースをイメージするかもしれませんが、国道134号線は緩やかな起伏がいくつもあります。このためペースが安定しづらく、ペースを安定させたいランナーにとっては難しいコースになります。しかも周回コースなので、速いランナーは遅いランナーに追いついてしまいます。

江ノ島を抜けると道幅は十分に広いのですが、募集人数が8,000人規模の大会なので、コース上はランナーで埋め尽くされる感じがあるので、周回遅れになるランナーをパスしていくのは体力を削られてしまいます。このため、思ったほどタイムが出ないケースもあります。

ただ10マイルという国内では特殊な距離なので、他の大会の結果と比べる必要がありません。湘南藤沢市民マラソンの結果は、過去の湘南藤沢市民マラソンの結果と比較するしかないわけです。マラソンのタイムというものは本来そういうもので、条件が違う大会とタイムを比較することにそれほど意味はありません。

このあたりも「市民マラソン」としていることへの強い意志を感じます。1回出場して終わりではなく、毎年走って走力の向上や体力の維持を確認する。タイムが落ちたら、翌年に取り戻すためにまた日々の練習に打ち込んだり、食生活を見直したりする。それが健康的な生活につながるわけです。

湘南藤沢市民マラソンの本質がそこにあるから、周回遅れの集団を追い抜きにくいなんてことは大したことではないわけです。それは今年だけ起きることではなく、過去にも起きていることで、これからも変わらないでしょう。条件が変わらないのですから、ちゃんと過去の成績と比較できます。

最高のコンディションで開催された2023年大会

同じ条件になるから、練習で走力が上がったらタイムも縮むはずですが、100%同じ条件にすることはできません。なぜなら、マラソン大会は毎年コンディション(気温や天候)が変わるからです。ただ、今年の湘南藤沢市民マラソンは、最高のコンディションで開催されました。

スタート前はかなり冷えていましたが、晴れ間が広がっており、走りを遮るような強い風もありません。スタート前に体が冷えて、序盤に体が思うように動かなかった人もいるかもそれませんが、おそらく2〜3km地点を通過する時には走りやすさを感じ始めたはずです。

無理やりマイナス点を挙げるなら、富士山が雲に隠れてしまったくらいでしょうか。上空は青空が広がっていますが、箱根の先は雲があり富士山までは見えない状況。もっとも湘南国際マラソンと違って、そもそも富士山が見える場所は限られているので、ほとんどのランナーは気にもしていないはず。

そして、沿道には湘南らしい元気のいい応援があり、ランナーの背中を後押ししてくれます。家族やラン仲間の応援なども多く、そしてランナー側も仮装している人もいて、晴天と合わせてコロナ禍前の楽しいマラソン大会が戻ってきたかのようでした。

おそらく出場したランナーは、エントリーして本当に良かったと感じたはずです。2022年は人気大会でも定員割れしていましたが、湘南藤沢市民マラソンのような走ってよかったと感じられる大会が、これからのマラソン人気を支えていくのだと思います。

フルマラソン前の調整レースにもおすすめ

フルマラソン前に30km走やハーフマラソンに出場するというのが、一般的な調整方法になっていますが、30kmやハーフマラソンというのは思った以上に負荷が大きく、結果的にリカバリーしきれずに本番のフルマラソンを迎えることがよくあります。

このため普段から10kmまでしか走っていないというような人は、ハーフマラソンや30km走はあまりおすすめできません。むしろ湘南藤沢市民マラソンの10マイル(約16km)くらいがちょうど。もちろん、サブ3を狙うようなシリアスランナーはハーフマラソンでも30km走でもいいのですが。

レースの雰囲気に慣れておきたい。レースペースで走れるか確認したい。そんな目的なら20kmも30kmも走る必要はありません。そういう意味では湘南国際マラソンの1ヶ月前くらいに湘南藤沢市民マラソンがあると、スケジュールはぴったりなのですが、残念ながら湘南国際マラソンは年末開催。

とはいえ、2月以降は東京マラソンをはじめ、全国各地でフルマラソンが開催されますので、それらの大会に向けての調整レースとしてかなりおすすめです。ただ、すでにお伝えしましたようにスタート時間が早いので、神奈川県外からの参加はハードルは高め。

逆に言えばアクセスさえ問題なければ、走力に関係なくすべてのレベルのランナーに走ってもらいたい大会。毎年の自分の体力測定代わり、フルマラソン調整レースなど用途はそれぞれ異なるかもしれませんが、走り終えたランナーの笑顔が素敵な大会でしたので、気になっている人はぜひ、来年以降にエントリーしてください。

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