日本一早いマラソンレポート「第60回愛媛マラソン」

2023年2月12日に第60回愛媛マラソンが開催されました。60回の歴史があるマラソン大会ですが、実は市民マラソンとしての歴史はそれほど長くなく、2009年までは陸連登録者のためのマラソン大会でしたが、2010年から市民マラソンになっています。

コロナ禍になる直前2020年の大会から3年ぶりの大会でしたが、かつての賑やかさを遥かに上回る熱量があり、1万人を超えるランナーが、沿道の声援を背中に受けて冬の伊予路を駆け抜けました。久しぶりの大会は何が変わったのか、実際に走って感じたことをレポートします。

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パワフルさがさらにパワーアップしたボランティアスタッフ

今回のMVPを挙げるとするなら、間違いなく愛媛マラソンのボランティアスタッフです。その多くが学生のボランティアさんでしたが、とにかく元気いっぱいで沿道を盛り上げてくれていました。やっぱりマラソンはこうでないといけません。

3年間のブランクがあるわけですから、ほとんどの学生ボランティアスタッフは初めての愛媛マラソンだったはず。先輩から話を聞くこともなく、自分たちのスタイルでサポートしたというのが影響しているのかもしれませんが、何度もその力強さに飲み込まれそうになりました。

エイドスタッフも1人ずつに「頑張ってください」の声をかけていて、しかも松山銘菓は丁寧に取り分けて渡してくれます。お遍路さんへのお接待を思わせるような優しさがあり、さすがお接待文化が根付いている伊予国ならでは。

声出しの応援がありなのかなしなのかはここでは論じませんが、やっぱり声援があってこそのマラソン大会で、ボランティアスタッフが率先して声を出していたことで、つられて沿道の人たちも声で応援をする。そしてそれに「ありがとう」と応えるランナーたち。

これこそが私たちが望んでいたマラソン大会です。声援のない中を黙々と走り、コロナ対策とはいえフードがバナナしかない。それでも開催されることに感謝していましたが、きっと今回の愛媛マラソンを走った人はそのような大会には満足できなくなるはずです。

もちろん愛媛マラソンもコロナ対策をしていなかったわけではありません。スタート前のマラソン会場にはランナーしか入れなくなっていて、ブロック入場時間にも余裕を持たせたり、スペースも広めにとるなど、ランナーに負担がかからないように工夫していました。

こんなにきつかったかな?と思うほどのアップダウン

愛媛マラソンに参加するランナーも3年ぶりということになるのですが、3年ぶりに走ったコースは、とても同じコースとは思えないほどアップダウンに苦しめられました。私は愛媛マラソンで自己ベストを出しているのですが、こんなコースで出したなんてとても信じられません。

でも3年前はそこまできついと思わなかったんですが、慣れ過ぎてキツさが麻痺していたのかもしれません。7km過ぎにある激坂は愛媛マラソンの名物になっていましたが、実はコース全体でフラットな場所はひとつもないくらいコースが波打っています。

かなり走り応えがあるコースなのですが、沿道の声援が途切れないので簡単には立ち止まることはできません。今年は最高気温が16℃近くにまで上がったのもあって、近所の人たちがこぞって出てきてくれたのか、とにかくずっと声援が続きます。

愛媛マラソンは気温が低い年が多く、大会会場の路面で氷が張っている年もあるほどなんですが、今年はかつてないくらいのポカポカ陽気。スタート前に半袖になっても寒く感じないくらいの気温で、しかも2月なのに風がほとんどありません。

折り返し地点周辺ではやや風が強くなりましたが、走りに大きな影響を与えるほどでもありません。これくらいの天気だとサブ4やサブ5くらいのランナーは気持ちよく走れたかもしれません。ただサブ3やサブ3.5くらいのランナーだと暑さに苦しめられていました。

アップダウンと高い気温で汗をかいて消耗し、後半になって失速する。さすがにサブ3.5のランナーだと歩いている人は少なかったのですが、私を含めて後半にペースが大きく落ちている人が目立ちました。ただ、走り終えればそれもいい思い出です。

最高のリスタートになった愛媛マラソン

今年の愛媛マラソンのゲストは愛媛県出身の芸人ティモンディと、愛媛マラソンの顔ともいえる高橋尚子さん。スタート前のやりとりでランナーをリラックスさせ、そしてティモンディは沿道からランナーを支え、高橋尚子さんもハイタッチでランナーに力をくれていました。

スタート前に高橋尚子さんは「コロナ対策をしっかりして、できればエアハイタッチで」と言っていましたが、愛媛マラソンでQちゃんといえばハイタッチ。次々とランナーがハイタッチをしてもらうために近付いていきましたが、高橋尚子さんは気持ちよく応じていました。

ボランティアスタッフだけでなく、大会に関わるすべての人が良い大会にしようという気持ちが伝わってきます。過去の大会の評価に満足することなく、過去のやり方からしっかり改善していてとても気持ちのいいリスタートになりました。

もちろんランナー側も待ちに待っていた開催で、愛媛マラソンもランナーが主役。今回思い通りの走りになった人も、悔しい思いをした人も、すでに「来年はもっといい走りをしよう」という気持ちになっているはずです。

愛媛マラソンはいま、とても良い循環の中にあります。かつてRUNNETの評価が1位になったこともありましたが、今ならまた1位に返り咲けるのではないかというほどのクオリティ。大きな期待を持ってエントリーしても、その期待を遥かに上回る体験ができるはずです。

来年以降はまた高倍率の大会になるかもしれませんが、参加すればきっと素敵な思い出になるはずです。まだ出場したことのない人も、過去に出場して楽しかったという人も、ぜひ来年の愛媛マラソンにエントリーして、進化した愛媛マラソンを体験してみてください。

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