日本一早いマラソンレポート「Fビレッジハーフマラソン」

2023年に開業したばかりのFビレッジ。日本ハムファイターズの本拠地でもあるエスコンフィールドHOKKAIDOを中心に、緑豊かなボールパークとして多くのメディアにも取り上げられており、北海道北広島市の新観光スポットにもなっています。

FビレッジハーフマラソンはそんなFビレッジを拠点に走るマラソン大会で、ハーフマラソンだけでなく10kmや5km、約3kmと走力に自信がない人でも参加できる大会としてスタートしました。今回はそんなFビレッジハーフマラソンを実際に走った内容をレポートします。

目次

ランナーの期待には応えられなかった第1回大会

今回のレポートを書くにあたって、まず私の立場についてお伝えしなくてはフェアではないと感じたので、まずは簡単に説明させてください。私はRUNNING STREET 365の運営をしながら、縁あってエスコンフィールドHOKKAIDO内の飲食店に勤務。そしてFビレッジハーフマラソンの非公式広報としてTwitterアカウント「Fビレッジハーフマラソンのしっぽ」で情報発信をしています。

このため、中立な立場というよりは運営側に近い立場としてこのレポートを書いていきます。まずはそのことを頭に入れておいてもらえると、読みながら引っ掛かるところを減らせるかと思います。ただ大会に対して忖度するつもりはありませんので、そのあたりはご安心ください。

多くの出走ランナーが感じたかもしれませんが、あらゆることがランナーの期待には応えられなかった大会になってしまいました。すべてが悪かったというわけではなく、コース上のボランティアスタッフさんは本当に一生懸命で声も出てて、北広島の誇りと言っても過言ではありません。

ただ、おそらくRUNNETではちょっと信じられないくらいの低評価になるはずです。要因はいろいろありますが、ランナーの堪忍袋の緒を切ったのは、荷物の受け取りに45分〜1時間近くかかったということ。ハーフマラソンを走り終えて、寒さもあるのに自分の荷物を受け取るのにそんなに時間がかかれば、当然の結果です。

預けるときも20分以上かかっており、人によってはスタート時間に間に合わなかった可能性もあります。実は大会2日前に事務局の方と打ち合わせがあり、「別の場所にしたほうが……」という話はしていたのですが、2日前に変更できるわけもなく、結果的にあのようなことになってしまいました。

ただ、これは来年から簡単に改善できることなので(理論的には)、参加者の怒りはごもっともですが、今回限りのトラブルだと考えたほうがいいかと思います。また来年も同じことをしたら、さすがに見限っても仕方ないですけどね。

コースそのものはアップダウンがあっておもしろい

Fビレッジハーフマラソンのコースは、Fビレッジ開業に合わせて開通した新しい道路と、きたひろしま30kmロードレース時代も使われていたエルフィンロード(自転車道)を組み合わせたものになります。Fビレッジはその名前からもわかるように丘の上にあるため、コースはかなりのアップダウンが続きます。

さらに6月は北広島でも29℃近い気温になることもあるため、自己ベスト更新を狙うのは難しい大会となっています。ただし、第1回大会である今回は最高気温が20℃前後と、この季節としてはベストコンディションと言っていい気温です。

湿度は北海道らしくカラッとしているので、多くのランナーが「今日は調子がいいかも」と思ってスタートしたかもしれません。そのあと、どんより雲がところどころ空を覆っていて、途中で何回か小雨がパラッと降ってきました。北広島は天気が安定しないのでこれは想定内です。

問題はコースが狭いということ。狭いだけでも悩ましいところに、ハーフマラソンの後に10kmがスタートして、同じコースを縫うようにトップランナーがハーフマラソンのランナーを追い抜いていきます。ハーフマラソンのコースは基本的に折り返しなので、上りと下りをランナーがひしめき合っている状況で10kmのランナーが追い抜いていくのでかなり危険です。

そしてエルフィンロードの道幅を考えると3,000人がそのまま走り出すのはキャパオーバー。1,000人ごとに3つのウェーブにして、10kmはハーフマラソンよりも30〜60分前にスタートする。もしくは10kmをやめるくらいの大改革が必要になります。

アップダウンそのものはとても楽しく、コースは下っているのに視線の先には上り坂を走っているランナーがいて、最近あまり見ることのない難コースですが「それがFビレッジハーフマラソンの魅力」と言えるほど、特徴的で魅力の詰まったコースになっていました。

ただエイドがすべて水だったことを不満に感じている人も多いようで、このあたりはアナウンス不足が否めません。そして「紙コップは十分に用意している」と聞いていたのに、エイドによっては紙コップが不足していて、後方のランナーが給水できない状態になっていました。

これも第1回大会あるあるのひとつですね。Fビレッジハーフマラソンには第1回大会にありがちな課題がすべて詰め込まれているのではないかと思うほど、多くのランナーが残念に感じる内容になっていました。ただ、それらもすべて改善できる点です。

情報共有・情報発信がうまく機能していない

大会前日までに感じたのは情報発信が足りていないということ。すでにお伝えしましたようにFビレッジハーフマラソンの非公式広報という役割をいただいていたのですが、2日前になって伝えおかなくては困ることが、ランナーに共有されていないことがわかり、2日前から怒涛のツイートでした。

たとえばFビレッジでは現金がNGで、電子マネーでないと買い物ができないのですが、大会HPにもゼッケンと一緒に送られてきた案内にも、そのような記載がありません。さらにはFビレッジには自販機もなく、ドリンクを買えるお店がスタート時間までにオープンしていません。

きっとこのままではRUNNETでの口コミが荒れてしまうということで、どこまで届くかはわかりませんが、情報発信を続けていました(結果的に荒れてしまいましたが)。その過程でFビレッジのような大きな施設を使って、自治体が大会を主催することの難しさを垣間見ることができました。

エスコンフィールドHOKKAIDOで働いているとお伝えしましたが、大会前日に勤務している人の通勤経路がわかりにくいということで問い合わせをしたのですが、そのときは北広島高校側の歩道から通勤できると言われたのですが、今回走ってみるとランナーが歩道を走るコースになっていて、聞いていた話とはまったく異なる状態でした。

安全の面からいろいろ変更があるのは珍しいことではないのですが、変更があったことが共有されておらず、そして問い合わせをしたら、古い情報を元に回答される。情報発信を行っていると、そのような場面に遭遇することが多く、情報を受け取る側が振り回されるという結果になっています。

その積み重ねがランナーにとって、納得できない満足できない対応にも繋がったのかなとは感じます。もちろんそれも第1回大会を開催してわかったことなので、きっと来年は今年の反省を踏まえて、風通しのいい大会になるはずです。

他のマラソン大会にはない強みがある

実際に走った人にはいろいろネガティブな感想もあるかと思いますが、すべてが悪いというわけではありません。エスコンフィールドHOKKAIDOでは映画の上映をしていたり、いくつもの飲食店が並んでいて、走り終えてすぐにビールと食事にありつけたりするというのはFビレッジハーフマラソンならではです。

繰り返しになりますが、声援でランナーを支えてくれたボランティアスタッフも素晴らしかったですし、参加賞Tシャツは品質も良くて着心地がいい。コースも狭い以外は難コースゆえの面白さがあります。5年10年続けば、北海道を代表するマラソン大会になるポテンシャルを秘めています。

今回参加された方の満足度は低く、口コミにも「次回は参加しない」という声も目立ちますが、ここで書いたことはすべて改善できる内容です。要するにまだ未完成の状態で走り出してしまった状況にあり、今回の経験を活かして大会デザインをやり直せば面白い大会になります。

少しだけ大会側の立場にいる者としては「まだ見捨てないで欲しい」「もう1回チャンスが欲しい」というのが本音です。ただ、戻ってきてもらうには実績できちんとできるのだということを示す必要があり、それはここから積み重ねていけばいいだけのこと。

失敗はすべて成長への糧になる。すべてのランナーが知っていることですよね。きっとFビレッジハーフマラソンもそうやって成長していくはずですので、今回不満を持って離れてしまったランナーの方も、ときどき大会をチェックして、いつか戻ってきてもらえればと思います。

あとは運営側が今回の大会に対する口コミに耐えられるかどうか。人によっては「そこまで言われるならもうやりたくない」なんて考えてしまう人もいるかもしれません。そうなるのは参加者としても本意ではないでしょうから、なんとか1人の離脱もなく、来年に向けてリスタートされることを願っています。

大会事務局が理想としていたことが、さまざまな事情により形にできなかったことが多々あることは用意に想像がつきます。だからこそ、大会参加社の声に耳を傾けて次への糧にする。そして、来年は今年以上に笑顔が見られる大会に仕上げてくれることを期待しています。 

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