日本一早いマラソンレポート「万里の長城マラソン2023秋」

4年ぶりに万里の長城マラソンが日本人を募集。大会そのものはパンデミック期間も開催されていましたが、ビザが必要ではあるものの、この春から観光での訪中が可能になり、日本人だけでなく、多くのランナーが世界中から集まる環境が整いました。

実際に秋大会としてはパンデミック以前と変わらない70名のランナーが集まり、そのうち日本人は私を含めて5名。日本国内ではビザ取得のハードルが高く、日本からの日本人参加者は私1人という結果でしたが、4年ぶりの万里の長城を満喫してきました。

目次

中国はビザ取得のハードルがとても高い

まずは現在の中国訪問がどれくらい難易度が高いのかについて、簡単に説明しておきます。万里の長城マラソン2023秋が開催された2023年10月29日の時点で、まずビザの申請予約に1ヶ月かかります。ビザの申請ができるのは東京、大阪、福岡のみ。

そして申請可能なのは平日で、数日後の受け取りも平日で、会社員だと申請するには2回有給を取得しなくてはいけません。もっとも旅行代理店に依頼すれば、有給を取得する必要はありません。ただ、そうやってビザを取得したところで、周りの人を理解を得るのが大変です。

現在メディアの発信する情報だと対日感情がかなり悪くて、安全性に問題があるからやめておきなさいという人が家族や会社の上司に出てきます。それを乗り越えてまで万里の長城マラソンを走るというのは、かなり酔狂な話になります。

反対に海外で暮らしている日本人からしたら、ハードルはビザしかなく、そのビザも簡単に取れたとのこと。いずれにしても、北京だけでなく中国全土への訪問が難しく、ただパンデミック後の北京は、高いハードルを超えてでも見ておく価値はあります。

優秀なボランティアスタッフにより運営がスムーズに

RUNNING STREET 365は万里の長城マラソンの日本事務局でもあるので、ただレースに出るだけでなく、前日受付のお手伝いもしています。受付は地元の大学生がボランティアスタッフとして手伝ってくれるのですが、今回のメンバーがびっくりするくらい優秀。

打てば響くし、気遣いもできるし、チームプレーもできます。受付の手伝いは10年前からしていますが、こんなに優秀なボランティアスタッフさんに出会ったのは初めてです。少なくとも4年前までは中国人らしいルーズさが多少なりともありましたが、今回はただただ有能でした。

でも、それは大会会場を貸してくれている家族も同じ。大会後のセレモニーをする舞台が食べ残しや飲み残しで乱れていたので、私が片付けていたら、それを見つけたおばちゃんが「ごめんごめん、私たちがやるから」と片付け始めました(もちろん中国後で)。

こういうことって4年前は絶対にありませんでした。特に片付けや掃除に関しては我関せずで、誰かがやってくれるという感じが強かったのですが、まず自分が動くというのを目の当たりにして、私が来たのが本当に中国なのか不安になるほど。

そんなスタッフが手伝っているので、ありとあらゆることがスムーズでした。

今回はトレイルランナーに有利なコース

万里の長城マラソンはこれまでにいろいろ場所を変えて開催してきたのですが、今回使ったのは4年前と同じ永恒長城。ここはフルマラソンだと万里の範囲が6kmしかありませんが、私がこれまで訪れたさまざまな万里の長城の中でも1番美しい長城です。

ただ、その長城に向かう道が傾斜のきついトレイルになります。秋のトレイルなので言わずもがな、落ち葉が多くてスリッピー。普段からトレランをしていて、トレランシューズを履いている人はガツガツ登れるのですが、ロードシューズだと足元が不安定に。

そして私のシューズはいろいろあってアディダスのアディオスプロ3というひどい選択。トレランシューズでなくても、せめて薄底シューズにすべきでし。厚底で足はパンパンなので、ちょっとした段差につまづくこと複数回。クッションも効いてなさそうな感じです。 

ただ厚底なのでロードは有利でした。もっとも下山してからは足がパンパンなのでだったので、アディオスプロ3の強みをほとんど活かせず。かといって長いことロードも走るので、ロードとトラックのハイブリッドシューズが良いかもしれません。

キツさは4年前よりも強く感じる

これは大会そのものとは関係ありませんが、4年前もハーフマラソンを走っており、その結果が30分遅れとなっています。もちろんコースは同じで、タイムが落ちたわけで、練習不足が如実に現れています。長い時間走るので体感的なキツさも増えています。

上りのトレイルでグリコーゲンを全消費することになるのに、万里の長城マラソンの階段ではほとんど足が上がりません。4年前はもっと軽やかに階段を駆け上がっていた記憶が……衰えなのか練習不足か。もっともどうやっても楽にはならないのが万里の長城マラソン。

とはいえ以前はこれよりもキツイコースで開催されていたので、世界トプクラスに難易度が高かったのですが、今のコースなら、フルマラソンを歩かずに走りきれる人ならフルマラソンにエントリーしてもOK。制限時間も10時間ありますし。

ただ観光も兼ねて、美しい景色を楽しみたいというのであれば、同じコースを2回走るフルマラソンはあまりおすすめしません。それならほどほどのキツさのハーフマラソンか、万里の長城を満喫できる10kmや 5kmがおすすめです。

やっと万里の長城マラソンのある日々が戻ってきた

大会の運営に関わるようになり、もう10年以上も万里の長城マラソンを走り続けています。最初の拙い運営からは考えられないくらい、トラブルの少ない大会になっており、大会の成長を肌で感じていますが、それはある意味中国の成長でもあります。

北京の今を感じることができ、その気になればボランティアスタッフさんと話をして、いまどきの北京の若者が何を考えているかを感じることもできて、世界中のランナーと知り合える。万里の長城マラソンにはそんな魅力が詰まっています。

今回は4年ぶりの参加でしたが、動かない足でゴールを目指しながら、やっと戻って来れたんだと、ちょっとだけ感情的になったのはここだけの話。4年前とすっかり変わってしまった北京にもわくわくしますし、ここからまた1年に2回、北京を訪れる生活が戻ってきます。

まだ日本人が参加するのは難しい状況ですが、1人でも多くの人に現在進行形の北京を感じてもらいたい。その想いを再確認した大会になりました。普通のマラソンでは満足できないという人は、ぜひ2024年5月1日もしくは来年の秋の万里の長城マラソンにご参加ください。

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