初めての開催となった万里の長城マラソン2016秋は中国政府の大きな会議のスケジュールと重なってしまったため、セキュリティの問題で政府からの指示で別の大会と合同開催となりました。
その合同開催となった大会も「THE GREAT WALL」万里の長城マラソンなのですが、参加者の99%が中国人で6000人の中国人が走る大会です。ただし、万里の長城は1歩も走りません。
万里の長城のある九谷口から慕田峪長城までの万里の長城の間を走る。1回目の開催ながら残念なことになってしまいましたが、中国政府が白といえば黒いものも白くなるのが中国です。北京は特にその傾向が強いため、政府の指示には逆らえません。
ただし、その合同開催になった大会も「厳しい万里の長城」を求めていなければ、とてもクオリティの高い、素晴らしい景観の中を駆け抜ける大会で、PM2.5ではないモヤがかかった状態でしたので景観の素晴らしさは半減でしたが、それでも素晴らしい大会には違いありません。
本来の万里の長城マラソン2016秋にエントリーしたのは24人で、そのうち8人が日本人でした。フルマラソンが3人、ハーフマラソンが4人、5kmが1人です。
スタートの九谷口は本来であれば絶景を見られる景観地なのですが、残念ながら前日の雨の影響で景色が霞んで見えます。この霞んだ感じはゴールするまでずっと続きます。北京の北部の山の中なので、PM2.5ではなくむしろ空気はきれいで、走りやすい環境です。
特に20km地点くらいまでは、景色に変化がありコースも心地よいアップダウンがあり、ランナーを飽きさせません。
APECの会場にもなった湖周辺も走ることができるのですが、アスファルトもきれいで本当によく整備された大会です。本来の万里の長城マラソンとはまったく逆になる「しっかりとした大規模な大会」です。
万里の長城マラソンもいいのですが、この「THE GREAT WALL」に参加するために北京にやってきてもいいんじゃないかな。走りながらそう感じた大会です。
ただ、中国の大会に出るというのは常にこういうリスクが付きまとうのだなということを知らされた大会になりました。春の万里の長城マラソンは毎年5月1日に開催しているため、中国は労働節で休みになるためこのような問題は過去にありませんでした。
ところが重慶で行われるはずだった別の大会は、中国政府の指示で中止になったことがあり、何年か前の北京マラソンは中国政府の指示で開催が延期されました。日本では考えられないことですが、中国では決して珍しいことではありません。
最近はそういうことが減っていたのですが、少し前からセキュリティに関してはかなり厳しくチェックするようになっています。
そう思うと中国の大会にエントリーするのは勇気が入りますが、それでも中国人たちと一緒に走るのはとても楽しい経験になります。一生懸命走っていますが、工法のランナーでも日本人ランナーのような悲壮感がありません。
走ることを楽しみつつ、無理もしないけど手も抜かない。中国人の性格が走りによく現れています。そして何よりも彼らは陽気です。一昔前では考えられなかったくらい、彼らは陽気で、笑顔を見せながら走っています。
そこには日本人の知らない中国人の姿があります。
世界一厳しいフルマラソンを開催することは出来なかったのは残念でしたが、参加者はそれぞれに、美しいマラソン大会「THE GREAT WALL」を楽しんでいました。厳しさを追い求めている人には物足りない大会になりましたが、それも違った楽しみを感じられる大会になったことだけが救いかもしれません。
毎年いろいろ起こる万里の長城マラソンですが、今年は完全に想定外でした。ただ、今回起こったことを次の糧にして、想定外を想定外にしないということも考えていかなくてはいけません。
中国でのマラソン大会に多くの日本人が安心して参加できる。そんな日が一日でも早く訪れることを期待しています。
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