なかなか定員に達しなかった水戸黄門漫遊マラソンですが、結論から言えば「出ておくべき記念すべき第1回大会だった」と断言します。
第1回なのでいたらない部分は少なくありませんでしたが、この水戸黄門漫遊マラソンの持つポテンシャルの高さは、関東近辺のマラソン大会で群を抜いているかもしれません。
まずもう少し改善したほうがいいかなと感じたところを伝えておきましょう。
後発のマラソン大会の中では比較的、いろいろな部分で緩さが多いように感じました。これはプラスにもマイナスにもなるのですが、ブロックごとの整列をするのに、ブロック内に入りきれないランナーがいたり、スタートから20分以上経過して、遅れてきたランナーがスタートできたり。
いい意味で懐が深く、悪い意味でのほほんとしている感じがあります。
全体的に救護体制が少し弱く、途中で吐いて倒れた人がいたのですが、すぐに救護の人が現れず、結局そのランナーは近くにいた人に水をもらって、走り始めました。他にも路上で倒れている人をそのまま放置しているケースが目につきました。ランナーを過保護にする必要はありませんが、もう少しだけ救護体制が整っていると何かあったときに「助かった」ということになるはずです。
せっかく水戸でのマラソンなのだから、水戸らしいエイドが揃っているといいのにという声もありました。エイドそのものは食べ物が豊富にあるので、あとはシャレでもいいから納豆を出すエイドがあっても面白いかなと感じました。納豆はひとつの例ですが、地元の銘菓が揃っていると「水戸に来た」という感じが強くなります。
予算の都合もあるのかもしれませんが、もう少しエイドに遊び心があってもいいのかなとは感じました。
そして一番もったいないのがフルマラソンのゴールです。ゴール手前の数十メートル地点から沿道には人が入れず、ゴールの瞬間を祝福することができません。ランナーもちょっとあっけないゴールに、少し戸惑っているような感じがありました。
42.195kmを走ってきたランナーを出迎えるためのアナウンスや、声援がもっとあるといい締め方ができるのになというのが感想ですが、あれもこれも1回目から完璧を求めるべきではありませんし、完璧でない緩さが水戸黄門漫遊マラソンの魅力のひとつでもあります。
沿道の声援も温かく、コースは全体的には走りやすく、部分的にアップダウンを設けているため、メリハリがあります。コース後半は公園内を走ることができるため、目に入ってくる景色が目まぐるしく変わり、ランナーを飽きさせません。
そして何よりも関東圏からのアクセスの良さと、宿泊施設の多さは大きな魅力です。ゼッケンは事前郵送ですので、前日受付に来る必要がありません。ですので、始発で間に合う人は無理に宿泊をする必要がなく、日帰りすることができます。
ただし偕楽園のような観光地もありますので、前泊してゆっくり観光することもできます。前夜祭もありますので、前日入りのメリットもあります。そのどちらもを選べるということが、ランナーにとってありがたいことです。
水戸駅から大会会場までのガイドもしっかりしていますし、ボランティアスタッフも大きな声を出してランナーの背中を押してくれます。
ほとんどのランナーが、水戸黄門漫遊マラソンに満足したのではないでしょうか。ゴールしたランナーたちの表情は達成感や爽快感で満たされているようで、「水戸に来て良かった」という気持ちが溢れているように感じます。
もちろん、先に書いたように改善するともっと良くなるのになと思う点はあります。そんなことはここで書かなくても、きっと大会運営を行なっている人たちが検討を行い、第2回大会はもっと素晴らしい大会になっていくはずです。
そうやって改善を繰り返していけば、水戸黄門漫遊マラソンは関東屈指の人気マラソンになっているはずです。
大会を運営する人たちの一生懸命さが伝わってきますし、沿道で声援をおくる人たちのマラソンを楽しむ心が伝わってくる大会が水戸黄門漫遊マラソンです。水戸黄門漫遊マラソンは出られるうちに出ておいたほうがいいかと思います。
人気の大会になってクリック合戦になったり、抽選になったらなかなか出られない大会になる可能性も秘めている大会です。
ほどよい緩さと、走りごたえのあるコース。そして温かい声援。人気大会になるポテンシャルは間違いなくあります。まだまだ様子見だった地元の人たちも、今回の盛り上がりで、「乗っからなくては損」と考えるはずです。
関東にまたひとつ素晴らしい大会が増えました。
同じ日に大阪マラソン、富山マラソンなどの人気大会があり、来年は横浜マラソンも同時期にぶつかるかもしれません。そんな激戦区でも十分に個性を発揮して、他にはない魅力的な大会に育っていくことでしょう。
水戸黄門漫遊マラソン。今後の進化から目が離せない大会です。
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