日本一早いマラソンレポート「北海道マラソン2024」

昨年の札幌は北海道マラソン直前の1週間の最高気温が35℃を上回り、前日には35.6℃になるなど、エアコンが普及していない地域としては、かなりコンディション調整が難しい大会になりました。1週間の寝不足もあって10km手前でリタイアする人も続出するほどのバッドコンディション。

それを嫌ってか、今年のエントリーは2万人の参加枠に対して、19,450人の応募とわずかながら定員割れ。エントリーを迷った人にとっては、どのような大会になったのか気になるところかと思います。ここではそんな北海道マラソン2024の最速レポートをお届けします。

目次

北海道らしい気候が戻ってきた北海道マラソン2024

スタート時の大通公園の気温は23℃。青空が広がる天候でしたが、ここ最近では珍しく「北海道らしい気候」になりました。風も心地いい程度あり、昨年のような湿気もなく、本当に「これぞ北海道マラソン」というコンディションで開催されました。

こんな天気になるならエントリーしておけばよかったと思う人もいるかもしれませんが、こればっかりはマラソンの神様しだいですので仕方ありません。もしかしたら今年も30℃を大きく上回る気温になっていたかもしれませんし、反対に今年だけが特別涼しくなっているのかもしれません。

いずれにしても、北海道マラソンを8月開催から動かさなかった運営の判断が正しかったことになります。日程の変更の要望などもあったことかと思いますが。北海道マラソンの日程を変えると、道内の他の大会にも影響が出るため安易に日程を変えたくないといった思いもあるのでしょう。

いずれにしても、今年も昨年と同じようなコンディションだった場合には、かなりの批判にさらされる可能性があるのに、それでも「昨年だけが異常だった」という判断をし、その賭けに勝ったわけです。これでしばらくはまた、北海道マラソンは8月末に行われることになるのでしょう。

号砲から少しして、上空が何度か雲に覆われることもありましたが、ほとんどの時間は晴れ間が広がりました。このため、昨年のような雷雨になることもありません。むしろ、やや暑さを感じた人のほうが多かったかもしれません。これについては後ほど詳しく解説していきます。

これだけコンディションが整うと、やはり走ってみたくなるのが北海道マラソン。おそえくRUNNETの評価も昨年よりも高くなるはずです。ただ、評価が上がる要因は天候だけのおかげというわけではありません。もし仮に気温が高くなっていても、大会側はそれに対する備えをしっかりとしていました。

北海道マラソン2024は徹底した暑さ対策を実施

北海道マラソンは2024年大会を開催するうえで、暑さ対策をしっかりと行うと発表していました。どんな作戦で暑さを乗り切るのか、そもそもそんなことができるのかと半信半疑でしたが、エイドでは十分な量の水を用意しており、さらにはコース上にシャワーエリアを配置。

エイドには雪玉を配置するなど、想像を遥かに上回る対策をしてきました。大会側の「絶対に準備不足とは言われないようにする」という強い意志を感じます。こういうところが、多くのランナーが北海道マラソンを愛する理由なのでしょう。

どうすればランナーが喜んでくれるのかを常に考えていて、それゆえにしなくてもいいことまでやってしまうこともありますが、あくまでもベースには「良い大会にしたい」という想いがあって、それが情熱となって良い大会にするための改革につながっているのでしょう。

少し気になったのは、昨年よりも「道路を渡れない」ことで困っている人が多かったように感じた点です。これは他の大会でもここ1〜2年で目立つようになってきたのですが、地元の人が大会開催による道路封鎖を知らずに、向こう側に渡れなくて困っているシーンをいつも以上に多く見かけました。

私も友人を応援して回るのに、北海道大学に向かうための道路が分断されていて、大回りして戻ることになりました。私はランナーなのでもちろん理解していますし、すぐに渡らせてはもらえないと判断できたので、引き返すという判断ができましたが、そうでない人はランナーが全員通過するまで待たされたのかもしれません。

また、道路を封鎖していている交差点でも、応援者に対して「信号を守ってください」と指示している警備員もいました。信号に関係なく渡れる交差点がほとんどで数ヶ所だけがそのような対応になっており、このあたりの意思統一がされていない点は気になります。

それでも暑いのが北海道マラソン

おそらくほとんどのランナーが昨年よりもいい記録で走れたはずです。昨年は高温多湿で、さらには後半には雷雨というかつて経験したことのないバッドコンディションでの開催で、今年は直射日光が当たるとはいえ気温は低め。おそらく最高気温は29℃程度で走りやすいコンディションになったはずです。

ただそれは、「昨年の北海道マラソンと比べて」というのが前提であり、マラソン大会としては決して良いコンディションとは言えない環境でした。最終ランナーがフィニッシュした時点で、ビルに表示されていた気温が29℃。これは決してマラソンに適した気温ではありません。

ここがかなり難しいところで、そもそも北海道マラソンでいい走りをするには3〜5月にしっかり走り込みをしている必要があり、多くのランナーにとってその時期はまだシーズン中。もしくはシーズン終わりでオフにしているので、カラダづくりが間に合いません。

そして何よりもここ数年の夏は暑さが厳しすぎて、暑さ対策として日中に走るのが難しい環境。そういう意味では北海道マラソンが難しい大会であることには変わりありません。むしろ、以前よりも格段に難易度が上がっているかもしれません。

実際にコース途中で足を攣って立てなくなっている人もいました。昨年は救護の人数が多かったからか、同じように倒れていてもすぐに救護スタッフが駆けつけてくれたのですが、今年はRUNNING STREET 365のスタッフが2度ほど救護しましたが、いずれも5分以上経過しても救護スタッフが来ることもありませんでした。

これは運営をするうえでとても難しいところで、今年はおそらく「足を攣る人、倒れる人を減らす」という予防の部分を重視した結果なのだと思います。マラソン大会の予算は限られていますので、どこに力を入れるかは運営が判断するしかありません。これは良い悪いではなく、いろいろと検討した結果がこうなったというだけのことです。

遠方からの参加者にとっては宿泊費の高騰だけが大きな課題

昨年の北海道マラソンで、かなりネガティブな評価をされた北海道マラソンですが、今年はしっかりと改善が行われ、さらに、昨年の暑さが例外だったと考えてもいいくらい、ベストな気候になった北海道マラソン2024。今年は定員に届きませんでしたが、おそらく来年はまた2万人のエントリーがあるはずです。

ただ、遠方から参加する場合には、大きな障害となるのが宿泊費の高騰です。北海道マラソン前日だけ、ホテル代がかなり高騰しており、予約するタイミングによってはビジネスホテルで1泊3万円というような価格になっていました。

マラソン大会の参加費も高騰していますが、それに宿泊費が高くなっていたのでは、以前のように気軽には参加できなくなってしまいます。もちろん北海道マラソンの運営が悪いわけではなく、むしろ大会側としては比較的安価な料金で宿を確保してくれているので、何もしていないわけではありません。

ただ、ホテル代が現在よりも高くなる場合には、札幌周辺以外のランナーが離れてしまう可能性があります。逆に言えばランナーにしてみれば、宿泊費問題をクリアできれば、北海道マラソンに参加しない理由はなくなります。そのためにできることは、北海道ツアーを利用したり、早めにホテルを抑えたりするのがおすすめです。

ゆっくりしていると、ホテル代が上がるだけでなく、そもそも部屋の確保が難しくなります。少しくらい高いと感じても早めに抑えておきましょう。あとは航空会社のセールを利用して交通費を抑え、浮いた分を宿泊費に充てるというのもおすすめです。

いずれにしても、現時点で考えられる北海道マラソンのネガティブな面はそれくらいしかありません。もちろん、また暑くなる可能性もありますので、暑い中でのレースを想定してトレーニングしておく必要がありますが、思いのほか快適なコンディションになる可能性もありますので、そこは運次第と割り切ってエントリーしてみてはいかがでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次