日本一早いマラソンレポート「第1回 Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能」

RUNNING STREET 365はトレイルランニングのアイテムの紹介もしていますが、メインで紹介しているのはロードということもあり、トレランレースのレポートはほとんどしていません。ただ、今回はアディダスの「TERREX」がメインスポンサーとなっているトレランレースに招待をしていただき、久しぶりにトレイルを走ることに。

参加した大会は「第1回 Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能」。舞台は埼玉県飯能市にある8kmと15kmのショートトレイル。トレランの最新情報をまったく把握していないところからの参加となりましたので、準備段階も含めて、ロードのランナー視点でレポートしていきます。

目次

久しぶりのトレランレースは準備が大変

私は過去に1度だけトレランレースに出場したことがあります。それほど規模の大きな大会ではありませんでしたが、トレイルの入口が狭かったのもあり、スタート直後に渋滞が発生しました。トレイルに入ってからも、無理に前のランナーを抜かすわけにもいかないため、人の背中を眺めるだけで、不完全燃焼のレースが終わりました。

そんな苦い思い出があるため、トレランレースに出場しなくなった過去があります。それから10年以上の月日が流れ、昨今のトレラン事情をまったく把握していないというのが現状。ただ、「第1回 Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能」では、初心者でも分かるように、しっかり情報発信してくれていました。

装備品チェックリストは誓約書とセットで用意されていて、それを確認しながら準備するだけで、安全にトレランを楽しめるようになっています。他の大会も同じなのか、それとも「第1回 Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能」だけのサービスなのかはわかりませんが、トレラン素人としてはとても助かりました。

ただ、実際にそれらを揃えるのは思った以上に手間がかかりました。たとえばファーストエイドキットやエネルギージェルは、ロードで使うことがないので持っておらず、ネットで購入することに。ところが年末というのもあり、配送が間に合わないものも。

仕方ないので薬局などで買い揃えましたが、その作業にかなり時間を取られました(しかも割高)。ちなみにトレランシューズも今回のレースに合わせて買い換えました。こちらは早めに手配していましたが、師走ということもあり、山に試走に行けたのは1週間前に1度だけ。

早めの準備をしなかった私が悪いのですが、ロードのレースは前日に準備するだけで間に合うことを考えると「手間がかかる」という印象は否めません。もっとも、1度用意すれば次からは購入する必要がありませんので、今回みたいに慌ただしく準備する必要はありません。

ちなみに、レース前の荷物チェックはありませんでした。てっきり確認するものだとばかり思っていたのですが、ちょっと拍子抜けでした。もっとも安全にレースを楽しむための備えですので、「確認しないなら荷物から外す」というわけにはいきません。それは勝ち負けよりも大切なことです。

晴天だけど冷たい強風に悩まされるコンディション

「第1回 Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能」は、西武鉄道の武蔵横手駅から徒歩13分のところに位置する長念寺の敷地内が会場となります。トレランレースなのに、電車で気軽に参加できるのは嬉しいところです(片道2時間かかりましたが)。

ちなみに武蔵横手駅や長念寺付近にはコンビニなどもなく(少し先にファミリーマートあり)、レース前の軽食などは事前に用意しておく必要があります。大会会場は飲食ブースもありません。ただ、走り終えたランナーには豚汁が振る舞われるなどの嬉しいサービスがありました。

この日の最高気温は10℃の予報。12月の飯能の気温としては暖かく、太陽が顔を出している時間帯はポカポカ陽気。

服装をどうするか迷っていたところで、徐々に風が強くなり始めました。当初は長袖のアンダーウェアとTシャツ、短パンで走るつもりが、急に冷えてきたのと、大会運営を行っている奥宮俊祐さんの「山はかなり冷える」とのアドバイスにより、長袖のウインドブレーカーと長ズボンを選択。

結果的にこの判断が正解。上りの区間は汗をかくほど暑く感じることもありましたが、むしろこの格好でも寒く感じる区間もありました。暑いのは耐えられますが、寒いのは低体温症のリスクもあるので、この時期のトレランは少し暑いくらいがちょうどかもしれません。もっとも上位に入るレベルですと薄着でもいいのかもしれませんが。

タイムよりも楽しく走りたい私くらいのレベルですと、レース中にウインドブレーカーなど着たり脱いだらしたほうが快適ではありますが、久しぶりのトレランでそんなことをする余裕もなく。しかも強風がどのタイミングで吹くのかはわかりませんので、8kmくらいの距離なら同じ服装で通しても間違いではなかったかもしれません。

ちなみに、強風とはいえ、走っていて煽られて転倒したり、滑落したりするほどではありません。むしろ問題は走り終えてから。それについては後ほど詳しくお伝えします。

複雑な地形を活かした最高に楽しいコース

私が参加したのは8kmの部(8.7km)。このコースは先にスタートした 15kmの部(14.4km)の前半部分を走り、と残り1kmくらいで分岐して、大会会場である長念寺に戻ります。トレイル率は80%で、獲得標高は480m。これがどのレベルなのかは私にはわかりません。

スタートしてからしばらくは長念寺の敷地を走るということもあり、コース幅もそれなりに確保されていて、上手く選手がバラけました。8kmも15kmもA〜Cまでのブロック分けをしていましたが、私はCブロックからスタートしました。

もっとも8kmの部は、男女合わせて約180名の出走ということもあって、Cブロックでも前が詰まってスタートロスが発生するということもありませんでした。ただ、やはりトレランはスタートダッシュが大事で、結局のところシングルトラックで追い抜きができなくなり、そこでほぼ順位が決まります。

「第1回 Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能」は、最初のシングルトラックまでに十分な距離があり、傾斜もきつくなっているので、無理なく前にでられる点が嬉しいところ。山に入ってからも抜かせるポイントはいくつもあり、初めてのトレランは何だったのかと思うほど快適に走れました。

もうひとつ嬉しかったのはエイドの存在です。たった8kmのトレランなのに、しっかりとしたエイドが用意されていて、バナナや大福、パン、ジュースなど消費カロリーを上回る補給ができるようになっていました。上位選手は立ち止まらずに進んだのかもしれませんが、私はしっかり立ち止まってバナナと大福を食べてから再スタートしました。

ちなみに15kmはもう1ヶ所エイドが用意されていて、装備品チェックリストには「各自必要な食料」となっていますが、自分が用意したジェルはまったく手付かずのままゴールしました。ドリンクも300ml用意していましたが、2〜3口飲んだ程度なので、エイドでは補給せず。

コースそのものは、かなりテクニカルな地形になっている印象でした。私は近所に丹沢の大山があるため、トレランレースには出ませんが、ときどき山に入って走ります。他にも旅先で山を走ることも多く、トレイルそのものは初心者ではありません。

そんな私の印象は「地形が面白い」というもの。しっかり走れる区間もあれば、岩がゴツゴツしている区間もあり、とにかく変化に富んでいて飽きることがありません。前半はトレランの感覚を取り戻すのに使いましたが、エイド以降は体が馴染んでいき、まるで山の一部にでもなったかのような感覚で走れました。

やっぱり山を走るのは楽しいですね。ロードのように淡々と積み重ねるのも好きですが、常に変化が起きて、それに対応しなくてはいけないトレイルはロードにはない楽しさが詰まっています。特に「第1回 Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能」のコースは、クリエイティブさを感じるほど魅力的で、何度も走りたくなりました。

こういうトレイルに出会えるのがトレランの魅力なら、これからも他の大会にも出たいところです。ただ、山で順番を競いたいタイプではないので、自分を追い込みながら走るのではなく、カメラ片手にときどき立ち止まって走るのが私には合っているかもしれません。

「Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能」に期待すること

変化に富んだコースで、大きな渋滞も発生しないなど、個人的に大満足のレースとなりました。私のようにたまにしかトレランを走らない人にとって、8kmというのはちょうど腹八分目くらいの距離で、こういう距離のレースが増えてくれると、トレランレースをもっと身近に感じられるようになる気がします。

ただ、今回は1回目ということもあり、荷物受け取りが少し大変なことになっていました。荷物を受け取るのに長蛇の列になっており、しかもそのタイミングで強風が吹いてきたというのもあり、参加者はみんな凍えながら受け取りの順番を待つことになりました。

これに関しては運営側も問題点として把握しているようですので、おそらく次回以降は改善されるはずです。荷物タグの番号をもっと大きく表示して見つけやすくし、スタッフも最初から多めに配置するなどすれば解決することです。荷物受け取りで手間取るは、トレランもロードも関係なく第1回大会あるあるですので、いずれ「第1回は大変だったよね」くらいの笑い話になります。

もちろん選手側も対策をすべきで、私はザックの中に薄手のダウンを入れて走っていたので、受け取りで並んでいるときも、そこまで寒さを感じずに済みました。荷物が重くなるという問題もありますが、12月のトレイルランニングだということを考えると、何かあったときの寒さ対策は必須。

来年以降は荷物受け取りがスムーズになるとは思いますが、そこで低体温症にならないようにするために、防寒着を持って走るか、エマージェンシーシートを使って風から体を守るように用意するのがおすすめです。

あとは、参加者の盛り上がりが足りておらず、私のイメージするトレランレースとは温度差がかなりあったように感じます。なぜそうなったのかはわかりませんが、走っているときも、それぞれが淡々と走っていて、もっと会話があってもいいのになと。

それはトレランの作法としてはNGなのかもしれません。そのあたりはまったくの無知なので「お前は何を言っているのだ」と思うかもしれませんがお許しください。ただ、もっと活気のある大会にならないともったいない。これだけのコースがあって、初心者にも優しい大会です。

あとは参加して「楽しかった」と思えるコンテンツがさらに増えると、より満足度の高い大会になります。もちろん、最初から完璧な大会なんてどこにもありませんので、これから「Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能」がどんな変化をしていくのか、とても楽しみにしています。

Fun Trails Round 韋駄天 in 飯能:https://fun-trails.com/race/idaten/

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