日本一早いマラソンレポート「かすみがうらマラソン2018」

関東圏から日帰りで行ける人気のマラソン大会のひとつが、かすみがうらマラソンです。スタートが10時に設定されているため、始発に乗れば神奈川の西部からでも参加することが出来ます。

かすみがうらマラソンは、各種目合わせて2万5千人のランナーが全国から集まります。これだけの参加者を集めることができるのは、なんといっても前日受付が不要だというところにあります。

前日受付に行くメリットがない大会の多くは、ICチップなどを郵送で送る方式に切り替えています。スポンサーの立場からすると、前日受付があったほうがいいのかもしれませんが、街そのものに宿泊キャパシティがないかすみがうらマラソンでは、前日受付をしたくでもできないという事情もあります。

ただ、そのような事情はともかく、かすみがうらマラソンは当日の朝に会場入りをして、スタートラインに立つことができれば参加できます。

フルマラソンは1万8千人が走ります。ブロックはA〜Fまでで、大通りをスタートに設定しているため、1万8千人がスタートラインを通過するのに10分程度しかかかりません。これはちょっと驚くべき数字です。

ただ、実際に走りやすいかどうかというとそうでもありません。コース上は道が狭い箇所があり、そこでは人を追い抜くことが難しくなります。

かすみがうらマラソンは、なぜか仲間で参加するランナーが多く、多いときには4人が横並びに走っています。そうなると、完全に道が塞がれてしまいます。抽選でないので仲間で参加しやすい大会というのは理解できますが、42kmを複数人で一緒に走る必要があるのかは少し疑問です。

ただ、仲間で楽しめるというのはとても大きなメリットです。最近の大きな大会の多くが抽選ですので「一緒に出よう」と思っても、なかなか全員が揃うことはありません。

かすみがうらマラソンは春マラソンですので、寒いのが嫌だという人も誘えば出てきてくれます。ただ、この春マラソンというのが、記録を狙うランナーにとっては悩ましいところです。

2年前はテントが飛んでしまうくらいの突風で、昨年は水が足りなくなりそうなくらいの暑さ。そして今年は、前日に開催の可否を検討するくらいの強風が予想されていました。結果的には風は弱まり、小雨の中での開催になりました。

朝起きるまでコンディションが分からない。そういう春マラソンならではの難しさがあります。

今年は気温がそれほど低くない状態での雨でしたので、記録を出したいランナーにとってはベストコンディションでした。全体のペースがやや速い感じで集団がスタートしていきました。

体が熱くなりそうなところで小雨が降るため、走力の高い選手は気持ちよく走ることができます。反対に走力以上のスタートをしたランナーは、比較的早い段階で失速してしまいました。

当たり前のことですが、いくらコンディションが良くても、自分の実力以上のものが出るわけではありません。走りやすいコンディションゆえに「今日は調子がいい」と思い込みがちですが、古今東西スタート直後に「今日は調子がいい」と感じて最後まで走り抜いたランナーはいません。

全体的に後半のペースが落ちていましたが、それは決してかすみがうらマラソンの問題ではなく、ランナーのレース経験のなさによるものです。経験の高いランナーほど、コンディションに惑わされず、自分の走りを貫くことができます。

そういう意味で今年のかすみがうらマラソンは、マラソン力が問われるレースになったかもしれません。

かすみがうらマラソンはフルマラソンで参加費が6000円です。このため、お世辞にもエイドが充実してるとは言えません。バナナが基本で、そこに後半はパンがあるくらい。1ヶ所だけお汁粉エイドがありますが、それくらいです。

ただ、私設エイドが多くありますし、エイドの間隔が狭いということもあり、不便に感じることはありません。むしろ、6000円の大会でここまでしっかりとした運営ができるということが驚きです。

ランナーとして参加してみて、一番すごいと感じたのは仮設トイレでした。一部のトイレは混雑していましたが、例えばEブロック横に設置されたトイレエリアは、スタート前でもまったく列を作る必要がないくらい空いていました。

スタートでそれだけしっかりとトイレを用意していますので、レース途中でトイレに行く人の数も少なく、結果的に途中のトイレもほとんど並びません。

大会運営でとても費用がかかるのがこの仮設トイレです。これが不便を感じないくらいに、ここまで適切に設置されている大会はおそらく国内では他にないかもしれません。

トイレは一例ですが、基本的にランナー視点の運営が多く、大会会場にはたくさんの飲食ブースがあるのですが、そのほとんどが適正価格よりもやや低めに感じます。土浦の名産品も、どれを選んでいいか迷うほど揃っています。

さらに、あまり宣伝をしていませんが、大会会場から少し歩いたところでは、ランナーズヴィレッジとして、飲食ブースやライブで大会を盛り上げています。ここでは名物のレンコンを使った料理を楽しむことができます。

「おもてなし」というよりは「いたれりつくせり」という表現のほうがしっくりくるかもしれません。

正直なところ、コースはそれほど魅力があるわけではありません。沿道の声援もありますが、都市マラソンのそれとは比べ物になりません。すでに紹介しましたように、道幅が狭くなりすぎて気持ちよく走れないエリアも多くあります。

でも、大都市マラソンから失われつつある「自分と向き合う時間」がたっぷりありますので、レース中は様々なことがランナーの頭をめぐるはずです。そして、走り終えたときに、スタートラインに立ったときよりもマラソンが好きになる。

「またマラソンを走りたい」

ゴール直後にそう思える大会はなかなかありません。初めてのマラソンに東京マラソンやホノルルマラソンを選ぶ人は多くいますが、かすみがうらマラソンもそれらの大会とは違った魅力で、初マラソンのランナーを向かえてくれるような気がします。

 

エントリー合戦に悩まされることもありませんので、来シーズンにフルマラソンを走ろうと思っているランナーさんは、ぜひかすみがうらマラソンも候補のひとつにしてみてはいかがでしょう?

ただし、天候が荒れる可能性が高い大会ですので、その点だけが頭に入れておきましょう。それも含めてかすみがうらマラソンの面白さではありますが。

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