ワークマンのカーボンプレートシューズ「オーバードライブ」でフルマラソンを走ってみた

ようやくワークマンカーボンプレートシューズ「アスレシューズハイバウンスオーバードライブ」を履いてフルマラソンに出場する機会がやってきました。発売前にワークマンアンバサダーとして商品レビューをしましたが、そのときは旅ラン。

サブ3.5ランナーがキロ6〜7分で走るのには、まったく問題がないというのがそのときの判断でしたが、やはり気になるのはスピードを出したときにどうなるか。先日開催されたいわて盛岡シティマラソンで、オーバードライブを履いて走ってきましたので、その内容をレポートします。

目次

21kmのペース走でいきなりトラブル

旅ラン以外で長い距離を走っておらず、いきなりレースペースでフルマラソンを走るのも不安だったので、大会10日前にオーバードライブを履いてペース走をすることにしました。できれば30kmを走っておきたかったのですが、どこまで走るかは調子を見ながら決めることに。

ペースはサブ3.5を狙うためのキロ4分50秒で設定します。もっと走れそうならペースを上げればいいと思っていましたが、10kmを超えたあたりから違和感が出てきます。まだ10kmしか走っていないのに、脚がパンパンでキロ5分を切れるかどうかみたいなペースに。

これ以上走っても、大会当日に悪い影響が出るということで21kmで終了しました。やや筋肉痛を抱えてのペース走でしたが、レース10日前に21kmしか走れないというのは不安しかありません。このとき一瞬、オーバードライブを諦めることも考えました。

思うように走れなかった原因のひとつに、オーバードライブのソールを硬く感じたことにあります。ミッドソールが硬いのではなく、カーボン配合プレートが物理的に硬く、足裏や膝などに負担がかかり、結果的に必要以上に力が入って消耗しているというのが私の判断です。

ワークマンのオーバードライブは、他社のようにミッドソールでカーボンプレートを挟み込んでいるのではなく、ミッドソールとインソールの間に配置されていま。このため、スピードを出して着地をしたときに硬さを感じるわけです。

走り切るためにBMZの980円インソールを導入

硬さをそのままにしてフルマラソンを走ると、半分もいかないうちに、今回と同じように消耗すると考えると、さすがに無策で望むわけにはいきません。しかも最悪なことに、21kmのペース走での疲労がいつまで経っても抜けません。

朝のジョグで5km走っていたのが、2〜3kmで足が止まるみたいなことが何日も続き、オーバードライブで記録を狙うどころか、スタートラインに立てるかどうかもわからない状態。そこで私が考えたのは、オーバードライブの硬さを低減すること。

具体的にはインソールの上にもう1枚インソールを追加すること。カーボン配合プレートと足裏との間にしっかりとクッションがあれば、足の負担が小さくなると考えたわけです。欲しかったのは厚みだけなので、機能性はそこまで重視せず、4つのインソールを購入。

  • ダイソー 3Dスポーツインソール
  • ダイソー ハイインパクトスポーツインソール
  • ダイソー Wクッションカップインソール
  • BMZ ワーカーズインソール

BMZ ワーカーズインソールは立方骨を支えるタイプのインソールで、ワークマンのお店で980円で販売されています。その他のインソールはダイソーなので、それぞれ税込みで110円です。時間がなかったので、実際に履いてみて決めることに。

それぞれの印象は割愛して、最終的に残ったのがダイソーの3DスポーツインソールとBMZのワーカーズインソールの2つでした。クッション性だけなら3Dスポーツインソールに軍配が上がったのですが、30km以降で失速しそうなイメージ。

BMZのワーカーズインソールは慣れない感覚というのもあったのですが、足裏にアーチができる理論なのでこちらなら、クッションがヘタることもなく、自分の体を使って衝撃を減らせると判断し、いわて盛岡シティマラソンではオーバードライブとワーカーズインソールを組み合わせることにしました。

オーバードライブの推進力がゴールに導いてくれた

インソールは決まったものの、どのような走りになるのかは走り出してみないとわかりません。インソールの選択が間違っていた可能性もあります。ただ、そんな問題がとてもちっぽけに思えるくらい、私の脚は大きな問題を抱えていました。

1kmも走らないうちに異変に気づきます。理由はわかりませんが、太もも裏側に痛みがあり、右足を曲げて折りたたむことができません。感覚的には10〜20°くらいしか右膝が曲がらないので、右足がまったく使い物になりません。

そうなると右足は地面に置いてくるだけで、左足で走りをリードすることになるのですが、この方法だと左足に普段の2倍の負荷がかかります。とりあえずキロ4分50秒をキープしますが、どう考えてもどこかで失速するのは目に見えています。

爆弾を抱えて走り出したようなもので、レース序盤はDNFが何度も頭をよぎります。ただ、一方で左足にそこまで力を入れなくてもグッと押してくれるような推進力が生まれています。これは間違いなくオーバードライブが生み出している力です。

20km以降、脚が思うように動かなくなってきたのですが、この推進力のおかげで失速を最小限に防ぐことができ、キロ5分を少しオーバーするくらいのペースをなんとか維持できました。ただ、30km過ぎの下り坂で脚を完全に使い切って、ここでサブ3.5はなくなります。

ただ、通常ならここから歩きをいれなくてはいけないほど失速するのに、オーバードライブのサポートによりキロ5分台をずっとキープできています。残り2kmはエネルギー切れも起こして大幅ペースダウンしましたが、それでも3時間40分でゴール。

タイムは誇れるものではありませんでしたが、自分史上最悪の状況でDNFも考えるようなコンディションだったにもかかわらず、最後まで止まることなく走りきれたのはオーバードライブが推進力を与えてくれたから。そして結果論からすればBMZのインソールも正解でした。

フルマラソンで記録を狙ってもらいたい1足

結果が伴っていないのに、高く評価するというのはどうかという意見もあるかもしれませんが、実際に履いて走った感覚からすれば、従来の薄底シューズにはない反発力がしっかりとあり、それもクセのないまっすぐな推進力なので、ほとんどのランナーが恩恵を受けられるはずです。

その一方でソールが硬くて足裏や膝に負担がかかるというのも、人によってはネックになるはずです。短い距離ならタイムが出るのに、長い距離を速いペースで走ると最後までもたないという場合には、インソールを追加するなどの対処が必要になります。

そういう意味では、ワークマンのオーバードライブは余白が残されているシューズとも言えます。これは話題になった980円のアスレシューズライトも同様で、自分で何らかのチューニングを行って、最適化を行うことで走れるシューズになります。

もちろんノーマル状態で問題なく走れる人もいるはずですが、実際にレース前に履く場合には、20kmくらいの試走をしておくことをおすすめします。私のように疲労が残らないようにするために、できれば1ヶ月前に1度走って確認しておくと安心です。

これだけの推進力を感じられて2,900円。私は自分のコンディションを整えきれず、思ったような記録にはなりませんでしたが、これからフルマラソンの予定があるという人は、ぜひワークマンのオーバードライブで自己ベスト更新に挑戦してみてください。

ワークマン:アスレシューズハイバウンスオーバードライブ

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