ランニングタイツはどのレベルに到達すると不要になるのか

ランニングタイツはどのレベルに到達すると不要になるのか

フルマラソンを走る市民ランナーの多くが、ランニングタイツを着用しています。おそらくフルマラソンを5時間以上かけて走るようなランナーのうち、9割以上がランニングタイツを着用しているように感じます。

それも寒い冬だけでなく、気温が高い春や秋の大会においても、着用率はそれほど変わりません。

ところが、トップランナーになるとランニングタイツの着用率は一気に下がります。ほぼゼロと言っても過言ではありません。これだけでトップランナーにとって、ランニングタイツは不要なものだというのが分かります。

ランニングタイツの効用については様々な話がありますが、ここではとりあえずその話は置いておいて、どのレベルになればランニングタイツが不要になるのかということに視点をおいて話をしてみようと思います。

ランニングタイツを履かないのは邪魔だから

そもそもなぜトップランナーはランニングタイツを履かないのでしょう?その理由は簡単です。自分の動きを阻害されるからです。ランニングタイツがあると動きをサポートしてくれるのでは?そう思うかもしれませんが、それはランニングフォームが安定していないからです。

ランニングタイツは、メーカーが考える理想のフォームに誘導するような構造になっています。履いて走ると安定感が増すのはそのためです。筋力がしっかりと出来ていない場合には、タイツのサポート力によって無駄のない走りができます。

でもトップレベルのランナーになれば、筋力がしっかりとしていて、自分なりの正しいフォームを身に着けています。そのランニングフォームと、メーカーが理想とするフォームが必ずしも一致するわけではありません。

人間の体は1人1人特徴が違います。右足と左足の長さが同じという人のほうが少ないくらいです。だからそれぞれが自分の体に合った走りをします。少なくともトップレベルに到達しているランナーの場合は。

そういうときにランニングタイツによる誘導は邪魔でしかありません。むしろ自分にとって正しい動きをさせてくれないわけですから、いい走りが出来ません。

ランニングタイツがふくらはぎのポンプ機能を下げる

RUNNING STREET 365のコラムや記事でも何度か書いてきましたが、ランニング中の血液は心臓のちからだけで流れているわけではありません。足の筋肉を収縮させることでふくらはぎがポンプとなって、足に流れてきた血液を心臓に戻します。

コンプレッションタイツの一部には、この機能を持たせたものがありますが、多くのランニングタイツはそこまでの機能はありません。ふくらはぎどころか太腿もタイツでカバーしていますので、むしろふくらはぎのポンプ機能が低下します。

そうなるとふくらはぎが送り出せる血液の量が減少します。体が必要としている酸素の量は決まっていますので、ふくらはぎが頑張れないなら心臓がそれを負担しますが、心拍数が上がりますのでその状態を長く続けることはできません。

要するにランニングタイツを履いたことで、体に負荷をかけているのと同じ状態になるわけです。当然いい走りなんてできるわけがありません。

ただし、これはあくまでもトップランナーの話です。それほどスピードを出していないときには、ふくらはぎのポンプ機能がそもそもほとんど働いていません。このためランニングタイツによって心臓に負担がかかるということもありません。

ランニングタイツはどれくらいでやめればいい?

ここまでの話で、トップランナーに近づけば近づくほどランニングタイツは邪魔な存在だということは理解してもらえたかと思います。動きを阻害して、血液を送り出すのにも邪魔になってしまいます。

でも走力の低いランナーには走りのサポートになりますし、ふくらはぎのポンプ機能を下げることもありません。走力のないランナーをゴールまで導いてくれる、とても重要な役割があります。

では、ランニングタイツが必要なくなるのはどれくらいのレベルのランナーでしょう?サブ3?それともサブ4?

これは人それぞれに違いますが、サブ4レベルで「あってもなくても変わらない」くらいになると推定できます。サブ4ということはキロ6分を切るスピードで42kmを走ることができますので、十分な筋力と走力があります。

逆にサブ4で走れないというのは、マラソンランナーとしては練習が足りていません。体重がかなり多い人でもない限り、ほぼすべてのランナーがサブ4くらいを目指すことができます。

そこまで練習することがいいことか悪いことかの議論は別として、フルマラソンを歩かずに走り切るだけの練習をしてくれば、サブ4というのはそれほど難しいハードルではありません。

そして、そのレベルに到達すれば、タイツに頼る必要はなくなります。タイツがあってもなくても、それなりの走りができます。そして、そこからさらに上を目指すようになったとき、ランニングタイツは走りを阻害するから不要だと感じるようになります。

ランニングタイツは適材適所で利用する

もし今よりももっと速く走れるようになりたいと考えているランナーが、ランニングタイツを履いて走っているのであれば、それはトレーニングのときから脱ぐことをおすすめします。

タイツがあるとその機能に頼ってしまいます。それではいつまで経っても筋力が上がっていきません。しっかりと筋肉に負荷をかけて鍛えていくことで、ランナーは強くなります。

ランニングタイツを履いていると絶対に速くなれないなんてことは言いませんが、それはかなりの遠回りになります。強いランナーを目指すのであれば、タイムに関係なく、ランニングタイツは避けるようにしましょう。

ただし、紫外線対策や寒さ対策という意味では、ランニングタイツはかなり役に立ちます。自分が速くなりたいことと、紫外線対策や寒さ対策の両方を天秤にかけて、いま自分がどちらを取るべきなのかをよく考えて選びましょう。

また、リカバリーランなどでもランニングタイツは効果を発揮します。適材適所で使うという考え方もありですので、絶対に使わないと決めるのではなく、ランニングタイツが役に立つシチュエーションをよく考えて、効果的にトレーニングに活用していきましょう。

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