日本一早いマラソンレポート「第38回江東シーサイドマラソン大会」

都内で開催される歴史のあるマラソン大会である江東シーサイドマラソン大会。マラソンブームが始まるずっと前から開催され、ランナーによっては第1回開催時にはまだ生まれていないかもしれません。

そんな江東シーサイドマラソン大会の種目はハーフマラソンと10kmで、大会会場である夢の島公園陸上競技場を中心に埋立地エリアを走ります。少しの交通規制はありますが、道路を完全に封鎖するわけではありません。

このため、上位ランナーでない限り、周りのペースに合わせる必要がありますので多少はストレスを感じるかもしれません。

ただ、ハーフマラソンで2400人、10kmが1600人で、10kmとハーフマラソンが30分違いのスタートなので、「どうにもならない」というほどの混雑ではありません。快適とは言えないまでも都内のレースであると思えば許容範囲内でしょう。

地域密着型のマラソン大会でもありますので、江東シーサイドマラソン大会には江東区を中心に東京23区内からの参加者が多く、しかもラン仲間と一緒という人や、家族で応援という姿も目立ちます。

このため、スタート前の会場はピリピリした雰囲気もなく、とても和やかな感じで居心地の良さがあります。普段は他のスポーツをしていて、年に1回だけ江東シーサイドマラソン大会を走るという人もいるのでしょう。

自己ベスト更新を狙うというよりは、走ることを楽しもうという人や、1年前の自分から体力が低下していないことを確認するために走っているのかもしれません。

マラソンを始めると、多くの人がフルマラソンを目指します。でも、フルマラソンはカラダへの負担が大きく、きちんと走り切るにはコツコツと練習を積み重ねていくしかありません。

毎日忙しくしている人にとっては、フルマラソンではなく10kmやハーフマラソンで十分です。10kmを歩かずに走りきれれば、それは決して小さなことではありません。健康であることを証明するのに十分な距離です。

こういう10kmやハーフマラソンなら、遠征しなくても家からそれほど遠くない場所で開催されていますよね。多くの市区町村が地元のマラソン大会を毎年開催しているかと思います。

そういう大会に毎年で続けるというのは、とても重要なことなのではないかと江東シーサイドマラソン大会を見ならが感じました。同じ大会に出続けることで、自分の現在地をきちんと把握できます。

過去の自分からどれだけ成長したのか。ベストだった自分からどれくらい遠い場所まで落ちてしまったのか。これは同じコースを走り続けないと分かりません。

東京マラソンの42.195kmと万里の長城マラソンの42.195kmを比較することに意味がないように、同じハーフマラソンや10kmのロードレースでも、コースが違えば結果が変わってきます。遠征する場合には体のコンディションへの影響もあります。

違う大会で結果を比べても、本当に成長しているのか、どれだけ体力が落ちているのかは分かりません。江東シーサイドマラソンのように地元で出やすい大会に、出続けることで、自分にとっての指標を持つというのはとても大切なことです。

結果が出なければ「もっと運動をしなければ」という危機感になりますし、きちんと結果を出せれば、「これでよかったのだ」と確認することもできます。

江東シーサイドマラソン大会は、そんな自分の現在地を知ることができる大会です。

大会の運営はとてもしっかりしていますし、イレギュラーなことへの対処もスムーズです。今大会ではゴール後に倒れた人が出ましたが、倒れた人への対応や、救急車の誘導など、慌てることな冷静かつ的確に行っているように見えました。

その他の部分でも、決して上から目線で指示をすることなく(安全のために多少厳しく言うことはありますが)、柔らかい対応が目立ちました。こういう大会では、安全のためにすべてを厳格に管理したがるものですが、臨機応変に対応できる柔軟性が江東シーサイドマラソン大会にはあります。

安心して走れる環境があり、しかも東京23区内の人にしてみれば、かなり手軽に参加できます。11月ですので天候にも恵まれやすい時期です。

こういう大会がある地域では、走ることが文化になります。親が走っている姿を子どもが見れますので、「いつかは自分も」との想いを持って成長してくれるかもしれません。

ただ、問題はこの江東シーサイドマラソン大会の人気が高すぎて抽選になるということでしょうか。それでも抽選の場合、半分は江東区民枠になっていますので、きちんと地元優先になっています(他の地域の人にとっては残念ですが)。

こうやって地元を大切にする江東シーサイドマラソン大会、そして地元の人たちも江東シーサイドマラソン大会を大切にする。とてもいい循環がここにはあるのは参加者の笑顔を見ていればすぐに分かります。

きっとこのような素敵な大会が、日本国内にはいくつもあるのでしょう。RUNNING STREET 365では大きな大会のレポートが多くなりがちですが、今シーズンからは、地元密着タイプの大会もご紹介していかなくてはと感じさせてくれた大会でした。

同じ大会に出続けることによって、自分の現在地が分かります。

どうせ毎年出るなら地元のハーフマラソンや10kmというのは、とても賢い選択です。そういえば地元にマラソン大会があったなという人は、ぜひその大会を「ホーム」として大切にしてみてはいかがでしょう。

もちろん江東シーサイドマラソン大会もおすすめです。派手さはありませんが、肩肘張らずに走れるマラソン大会。今年の自分は1年前と比べてどの位置にいるのか。確認のために、ぜひ継続した出場を目指しましょう。

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