日本一早いマラソンレポート「万里の長城マラソン2019秋」

毎年5月1日に開催されている万里の長城マラソンですが、実は秋にも開催されており、大会募集をはじめて今年で4年目になります。1年目の2016年は中国政府の意向によって別大会に吸収されるというスタート。

このため秋大会は大きく宣伝することもなく、受付は大会ホームページのみにしえいましたが、2019年秋の日本人参加者はなんと17人になりました。これは日本事務局ができた初回の春大会の日本人参加者数を上回ります。

たった12人の日本人参加者ででリスタートした万里の長城マラソンの春大会は、気がつけば130人を超える日本人参加者が集まる大会に成長しました。秋大会も同じように数年後には100人以上が走っているかもしれません。

RUNNING STREET 365は万里の長城マラソン日本事務局の運営を兼ねていますので、このサイトでは何度となくご紹介をしてきましたが、今年の17人のエントリーは口コミだけで広がったわけですから驚くべきことです。

ただ、わざわざ万里の長城マラソンを走ろうという人は、どこか変わった人が集まる傾向にあります。ウルトラマラソンを走っている人もめずらしくなく、万里の長城マラソンが初フルマラソンという人までもいます。

挑戦することを楽しんでいる。挑むということに対するハードルがやたらと低い人が集結しやすいのかもしれません。いずれにしても、そういう人たちが惹きつけ合うのが万里の長城マラソンです。

10月末の北京は気温が低く、最低気温は4℃。乾燥しているのもあって、日本の冬のような寒さの中で集合して、北京市内からバスで万里の長城を目指します。会場となっているのは永恒長城は北京市街地からさらに北に向かいます。

万里の長城マラソン以外ではほとんど日本人が足を踏み入れることのない万里の長城を走ることができるのが秋大会の魅力ですが、その代わりロードの区間が長く、苦しみを求める人にはやや物足りないかもしれません。

ただ、それだけ参加しやすくなっているというメリットはあります。春大会のようにサブ4を達成していない人でも、完走できる可能性は大いにあります。もちろん、簡単ではありませんが。

大会当日の朝は日本の冬を思わせるかのような寒さで、スタートラインに並ぶのも躊躇したくなるほどでしたが、青空が広がったのもあって、気温は徐々に上がって、最終的には走りやすいコンディションに収まりました。

中国が本気で環境対策に取りんでいるというのが、毎年のように万里の長城マラソンに参加しているとよくわかります。以前よりも青空になる機会が増えていますし、少なくとも春と秋は青空のもと万里の長城を駆け抜けることはできます。

全体の参加者は80人程度ですので、ちょうどいいサイズ感があります。春大会は300人を超えており、スタッフの人数に見合っていないように感じるところが多々ありましたが、この人数ならきちんと対応しきれます。

フルマラソンは万里の長城の区間が約6km程度しかありませんが、それでも決して楽なコース設定ではありません。普通のマラソンの1.5〜2倍くらいの時間がかかりますし、体への負荷もかなりあります。

今回は若い参加者が多かったのですが、元気がある人ほど「思ったよりも走れる」と思って走り出した結果、想定以上に苦しんだかもしれません。

万里の長城に向かうためのトレイルの上りと万里の長城そのもののアップダウン。その距離は短くても、万里の長城を堪能するにはこれ以上ないくらい美しい曲線を描くルートを駆け抜けます。

フルマラソンの人は、周回コースの2周目には経験をしたことのない疲労感と戦いながらのレースになります。1周目に一気に走れた階段でも、2周目には立ち止まって休みたくなる。

自分の精神力を試されているかのような感覚になり、ただそこで気持ちが折れるのではなく「やってやろうじゃないか」という気持ちになるのが万里の長城マラソンの面白いところです。

RUNNING STREET 365は万里の長城マラソンの運営にも関わっているため、これまで中国各地の万里の長城を走ってきましたが、秋大会の会場は中国随一の美しさを誇ると言っても過言ではないほどの素晴らしい景色が広がります。

疲れて足が動かなくなったときに、ふと周りを見渡すと、驚くような景色が広がっている。これだけは世界中で万里の長城でしか見ることができないものであり、万里の長城マラソンを走ってもらいたい理由でもあります。

参加したランナーは口を揃えて、景色の美しさについて語ってくれました。苦しみも大きいけど、それ以上に楽しさが勝っている。そう感じてくれたことが事務局としては何よりも嬉しいところです。

もっと嬉しかったのは、大会会場で日本人参加者が率先してゴミの分別などを行ってくれていたことです。最終走者を待つ手持ち無沙汰もあったのかもしれませんが、やや荒れ気味だった会場があっという間にきれいになります。

それを見た中国人ボランティアスタッフも、大会会場を提供してくれる地元の人たちも同じように動いてくれたのを見て、日本人のそういう部分は世界に誇れるものだと再確認できました。

今回の学生ボランティアさんの中には、今年の春大会にもボランティアとして参加してくれた人がいましたが、その人は春大会で日本人参加者が率先して受付の協力をしてくれたり、別け隔てなくお菓子を配ってくれるのをみて、とても感動したと言ってくれました。

万里の長城マラソンはとても小さな大会で、知名度もそれほど高くはありませんが、参加者1人1人が現地の人たちに与える影響というのは決して小さなものではありません。積極的に他の国の選手に話しかけてくれる人もいます。

走ることも大事だけど、走ることを目的とするのではなく、走ることを手段としている人が集まる傾向にあるように感じます。それがそのまま万里の長城マラソンの色になっているのでしょう。

これからも万里の長城マラソンの秋大会は小規模での開催になるかとは思いますが、春大会とはまた違った色を出せるようになっていくかもしれません。

中国の大会ですので、どうしても参加しづらいという人もいるかもしれませんが、最新の北京を知るためにもいいきっかけになるはずです。万里の長城マラソンと北京観光を合わせて計画して、ぜひ自分自身で北京の今を感じて貰えればと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次