日本一早いマラソンレポート「大阪マラソン2024」

國學院大學の平林清澄選手が誰よりも早くフィニッシュラインに飛び込むという、おそらく本人以外、誰もが予想しなかった結果になった大阪マラソン。RUNNING STREET 365は平林選手にインタビューをしたことがあり、かなり期待していたのですが、そんな期待を遥かに上回る記録になり正直驚いています。

今年の大阪マラソンはスタート前から小雨が降り続き、気温も低いといったコンディション。前日の天気と取り替えてほしいと思いながら家を出たランナーも多かったはず。そんな大阪マラソン2024がどのような大会になったのかレポートしていきます。

目次

過去の大会とは違った空気感になったのは雨のため?

まずは大阪マラソンの受付会場でもある大阪マラソンEXPO 2024について。私も2015年に出場したことがあるのですが、EXPOの内容がその頃から大きく変わっていました。2015年はただゼッケンを受け取りに行っただけで、ブースもそこまで魅力的ではなかったと記憶しています。

ところが今年の大阪マラソンEXPOは、足を止めたくなるような地域色のある出展がいくつもあり、オール大阪で大会を盛り上げようとしているようにも感じました。さらにはメインステージがエンターテイメントとして成立しており、EXPOだけでも1日楽しめそうな内容でした。

そして、スタートエリアでランナーを見送りながら気付いたのは、2015年と比べて仮装ランナーが少ないということです。2015年は走りながらカメラを下ろす暇がないくらい、あちこちに仮装ランナーがいて、お祭りのようなマラソン大会でした。

今年の大阪マラソンで仮装ランナーが少なかったのは、雨が降ったことが原因なのか、それとも仮装を好むタイプのランナーたちがマラソン大会から離れてしまったのか。ただ、それをネガティブに感じているわけではなく、大会のカラーが変わったんだなと受け止めています。

お祭り色が強かった大阪マラソンが、10年近い年月のせいか、それともコロナ禍の影響か、競技色が強く感じられる大会へと変わっていました。もしかしたら大阪マラソン2024がパリ五輪代表選考レースだったことも影響しているのかもしれません。

または記録を狙いやすいコースになったことで、全力でチャレンジしたいと考えるランナーの割合が増えたのかもしれません。いずれにしても、私が知っている大阪マラソンは過去のもので、いつの間にかまったく違う大会に変化していました。

フラットで走りやすく記録が出やすいコース

かつての大阪マラソンは北から南に向かってスタートしましたが、現在は南から北に向かってスタートします。誰が考えたのかわかりませんがこれが秀逸で、南から北に向かうことでスタート直後がなだらかな下り坂になっています。

大阪マラソンはウェーブスタートを導入しています。それでも各ウェーブの後方はスタート直後もしばらくは混雑するのですが、下り坂なので選手同士の距離が広がりやすく、そしてコース幅が広いので最初1kmの手前から、自分のペースで走れるようになっています。

早い段階でペースを掴んだら、そこからは水都らしいフラットな路面が続くので淡々と走っていくだけ。東京マラソンもアップダウンが少なくタイムが出やすい大会とされていますが、スタートの混雑解消が早いので、もしかしたら大阪マラソンのほうが記録を狙う人には向いているかもしれません。

しかも走りながら景色がどんどん変わっていくので、集中力を維持しやすいのも大阪マラソンの魅力のひとつ。昨年から折り返しも減っているので減速する回数も少なくて済みます。ただ、曲がり角が少し多いので今日のように路面が濡れているケースでは、スピードに乗り切れない人もいたかもしれません。

またビルの間を走る区間が長いので、古いモデルのランニングウォッチでペース管理をしている人は、表示されるペースが安定しなかった可能性があります。最新モデルはビルの間でも高い精度で位置測定ができるので、これから大阪マラソンを走るという人は、ランニングウォッチを新調するのがおすすめです。

とはいえベストコンディションであるなら、大阪マラソンは自己ベスト更新を達成できるコースであることには間違いなく、走り終えたランナーの多くが「このコースならいいタイムを出せる」という感触を掴んだはずです。

冷たい雨が降り続くランナーには厳しい展開

大阪マラソンは記録を狙いやすいとお伝えしましたが、だからこそ雨が降り続くコンディションであったことが残念でした。マラソンなので雨や風は仕方ないことなのですが、おそらく自分のポテンシャルを引き出せないままフィニッシュしたというランナーも多いはず。

スタート前の気温が6.3℃で、天気予報では雨が降り続くとのこと。「気温が下がって低体温症のリスクがあるので気をつけてください」と何度もアナウンスされるようなコンディションだったのもあり、沿道からの声援も本来の大阪マラソンほどではなかったかもしれません。

多くのランナーがレインコートなどを着ていましたが、スタート時間を待っているだけでも体温を奪われます。体温を奪われるということは、それだけ体内のエネルギーを消耗することになり、しかも筋肉が硬直して可動域も狭くなります。

そういうことも含めてマラソン大会なわけですが、青空と雨では走っているときの気持ちよさがまったく違います。マラソンはメンタルのスポーツなので、今回のコンディションでは気持ちを入れるのが難しかったという人もいるはずです。

ただ、それを言い訳にしないのがランナーであり、どんな状況にあっても「ベストを尽くす」ことが大切。スタートラインに立つまでに積み重ねてきたものを出し切る覚悟が、多くのランナーの目の奥から伝わってきたのは、むしろ雨だったからのように思えます。

3時間台で完走したランナーは気持ちが入りすぎて、フィニッシュ後に車椅子のお世話になっている人が少なくありませんでしたが、5時間台6時間台でゴールしたランナーは喜びが全身から溢れており、充実感に満たされた素敵な笑顔でゴールしていたのが印象的でした。

人気のマラソン大会に向けてのリスタート

大阪マラソン2024で感じたことをひと言にまとめるとしたら「マラソンブームは終わった」ということです。それはネガティブな意味ではなく、むしろここがスタートラインであり、マラソン大会としての本来あるべき姿への移行だと感じました。

フルマラソンにはファンランとして楽しむこともできますが、42.195kmは誰でも簡単に走れる距離ではなく、ある程度の真剣さをもってトレーニングを積み重ねた人の競技でもあります。多くのランナーをいくつかのポイントで見ていましたが、それぞれがしっかり練習を積んできた顔をしていました。

きっと大会当日までに大阪マラソンの事務局やメディアが、マラソンとの向き合い方について、たくさんの情報発信を行ってきたのでしょう。それが大阪マラソンをお祭りから競技への移行させたのかもしれません。このような表現が適切ではないかもしれませんが「今年の大阪マラソンはランナーの質が高い」ように感じました。

きっとここから大阪マラソンはかつての人気を取り戻していくはずです。ただ今度はブームではなく、過去の自分を超えていきたいという想いを持ったランナーが集う大会として。2024年大会はその第一歩、リスタートの大会になったのではないでしょうか。

もちろん完璧な大会というわけではなく、雨天への対応も含めてこれからも改善と変化を繰り返して、よりよい大会になっていくはずです。そして、そう遠くないうちに日本を代表するマラソン大会、世界有数の「走りたい大会」になる未来を期待したくなる大会でした。

レポートを読んで、来年は走ってみようかなと思った人もいるかもしれませんが、今年の参加者の多くが「来年こそは」「来年も」と意気込んでいそうなので、大阪マラソン2025は0次関門のハードルが高くなるかもしれません。とはいえエントリーしないことには始まりませんので、ぜひ一緒に0次関門突破を目指しましょう。

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