東京五輪の影響で今年で最後の開催になるかもしれない24時間グリーンチャリティリレーマラソンin東京ゆめのしま(以降「夢の島24時間リレーマラソン」)。なんらかの形で継続される可能性はありますが、少なくとも夢の島陸上競技場は取り壊しされますので、同じ形での開催はなくなります。
ただ、その影響がなくても、夢の島24時間リレーマラソンはそろそろ開催していくのが厳しくなっていたかもしれません。参加者数が以前より少なく、最盛期は競技場の外まで並んだ参加者のテントが、競技場内にもまだまだ余裕があります。
運営側の名誉のためにも言っておきますが、決して夢の島24時間リレーマラソンの運営が悪いわけではありません。10年前は問題がいくつかありましたが、今では不便に感じることはほとんどなく、さらに常に改善しようという姿勢が伝わってくる素敵な大会です。
では、なぜ参加者が減るのか。個人の場合はこの時期に開催される他の大会が増えたことが主な原因で、今回は柴又100キロと同日開催でした。翌週には飛騨高山ウルトラマラソンがあります。
魅力的な大会が増えれば増えるほど、参加者は分散します。これに対しては、大会の魅力を上げていくしかありませんが、それにしても限度があります。少なくとも夢の島24時間リレーマラソンは、十分すぎるくらいの魅力があります。
問題はチームでの参加が激減していることにあります。この理由として考えられるのが、ランニングブームの終焉が挙げられます。参加者を募ってもなかなか必要となる人数が集まらない。これが現実なのではないかと思います。
頑張って集めれば何とかなりますが、取りまとめをする人の負荷がかなり大きなものになります。参加者の住所や生年月日を確認したり、お金を集めたり。そこまで手間と時間をかけてやっても、集まったメンバーがそれもほど乗り気でないなんてこともあります。
そういう状態になってまで、大会参加を継続してメンバーを集められる人はなかなかいるものではありません。
ランニング人口の減少は、こういった部分にも影響を与え始めています。これも運営側の努力で対策できることとできないことがあります。24時間リレーマラソンが徐々に縮小傾向にあるのは時代の流れかもしれません。
そんな状況で開催されたグリーンチャリティリレーマラソンですが、今年は見事なくらいの晴天です。以前は24時間の間に必ず雨が降るという大会でしたが、ここ数年は雨よりも暑さとの戦いになりました。
しかも参加者、参加チームが少ないことで、スタートの飛び出しが容易になり、最初から全体がハイペースです。チームは交代できますが、個人は体が1つしかありません。ハイペースに巻き込まれて、いきなり心拍数を上げてしまったランナーさんもいたようです。
全体が落ち着きを取り戻すまでに2時間くらいかかったでしょうか。やや日が傾きかけた15時くらいには、すでに歩いているランナーも目立ち始めました。完全なオーバーペースです。
大会会場には今年からリラックスゾーンができて、緩やかなリズムの音楽が流れ、足湯やハンモックなどが設置されているのもあって、大会の雰囲気としては、これまでになくゆったりとしていました。
24時間リレーマラソンは、大会によっては殺伐になりがちですが、この大会にそれとは真逆の落ち着いた雰囲気に仕上がっていました。ゆっくり立ち止まって、歌手の歌声に耳を傾けたくなったりします。
とはいえ上位を狙うチームはほぼ全力疾走、24時間完走目標の個人はマイペース。お互いにぶつかることなくスムーズに走れるのは、はからずも参加人数が少なくなったおかげかもしれません。
今年は川内優輝選手のモノマネ芸人であるM高史さんが、ゲストで招かれていました。グリーンチャリティリレーマラソンは彼がまだ無名の頃からゲストに来て、大会を盛り上げていましたが、すでに全国のマラソン大会で引っ張りだこ状態です。
でもM高史さんは相変わらずで、とにかくランナーのために動き回ります。競技場内でハイタッチしていたかと思うと、コースで参加者と並走しています。さらには23時くらいまでエイドで、給事係をして走っている人たちを勇気付けてくれます。
こういうゲストがいて、成立している大会だったなと、急に過去のことを思い出したりしていました。そこに目の前を見覚えのある、小柄の男性が全速力で駆け抜けていきます。
カンボジア代表の猫ひろしさん。
実は彼もグリーンチャリティリレーマラソンに縁のあるランナーです。かつて猫ひろしさんも、チームとしてグリーンチャリティリレーマラソンを走っています。そんな彼は、おそらく個人的にエントリーをされたのでしょう(アナウンスは一切なし)。
仲間と一緒に4時間チームの部として参加していました。お忍びにしようにも、その圧倒的な存在感を隠すのは無理です。最初は普通のランニング着でしたが、最終的にはいつもの猫魂のシャツに猫のかぶり物。ちゃんと用意されているところが流石です。
はっきり言って、今回参加しなかった人は、かなりもったいないことをしたと言い切れるくらい盛りだくさんの内容で、さすが24時間リレーマラソンを引っ張り続けてきた存在です。
エイドもその場で調理してくれるキッチンカーがあり、手ぶらで参加しても困らないくらいの充実度です。ウェルネスの大会はエイドが残念と言われ続けてきましたが、この大会を見てそんなことを言える人は1人もいないでしょう。レース中の唐揚げやチャーハンが食べやすいかどうかは別として。
ただそれも含めて、本当に楽しいですし、スタッフもボランティアさんもしっかりしています。あれこれ必要以上に禁止することなく、参加者と運営側がいい信頼関係を維持しながら開催されています。
もし夢の島陸上競技場がなくなることで来年以降に開催されなくなるなら、これは大きな損失です。
これからにのような形になるのか気になりますが、RUNNING STREET 365では、継続されるなら、これからもご紹介しなくてはいけない大会の1つだと考えています。
あとはどうやって集客するのか。それは大会の運営側が知恵を絞ってもらいたいところです。6月ですので、会社の新人研修や懇親会イベントとして利用してもらうなど、まだまだ出来ることはあるはずです。
ただ開催されるならまた1からの作り直し。これまでの経験があるとはいえ、簡単な話ではありません。それでも、ここまでしっかりと夢の島24時間リレーマラソンを作り上げたわけですから、やはり期待せずにはいられません。
来年以降にどうなるのか、期待しながらその結論を待つとしましょう。