アシックス「METASPEED+」シリーズ ローンチイベントで5,000mのタイムトライアルをしてみた

アシックスのレーシングモデル「METASPEED+」が6月に発売されるのはすでにお伝えしましたが、そのローンチイベントが昨日6月7日に東京の夢の島陸上競技場で開催されました。今回は商品発表だけでなく、5,000mのタイムトライアルがあり、実際に「METASPEED SKY+」を履いて走ってきました。

また、Speed Labで「METASPEED+」シリーズが従来モデルと比べてどう変わったのかを、アシックスの担当者に細かく説明していただいたので、その内容も深めてシューズの特徴についてお伝えできればと思います。秋のマラソンシーズンに向けて購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

目次

走法ごとに最適化された2つのモデル

すでにMETASPEEDについては、RUNNING STREET 365でも何度かご紹介してきましたので、購入検討をしている人ならある程度は特徴を把握しているかと思います。ただ、まだよく分かってないという人のために、簡単にご紹介しておきます。

アシックスのMETASPEEDは高反発で衝撃吸収性に優れたソール材「FF BLAST TURBO」とカーボンプレートを組み合わせたソールを持つ、マラソンで自己ベスト更新を達成するためのランニングシューズです。いわゆる厚底シューズですが、他のメーカーとの違いは2タイプのトップモデルがラインナップされています。

アシックスはランナーのフォーム分析なども行なっており、その知見を活かしてシューズ開発を行なっています。フォーム分析の結果で見えてきたのは、ピッチ走法とストライド走では最適なシューズが違うということでした。

そこでアシックスはストライド走法に特化したMETASPEED SKYと、ピッチ走法に特化したMETASPEED EDGEの2種類のランニングシューズをラインナップしています。この選び方については後ほど詳しく解説します。

今回発売になったモデルはMETASPEED SKY+とMETASPEED EDGE+は、初代モデルよりも多くのフォーム材を使っており、さらにはカーボンプレートの形状の最適化や、初代モデルに対するユーザーの声を取り入れて、考えられるすべての部分をチューニングしています。

そのこだわりはシューレースにまで見られ、初代モデルよりも1gの軽量化と快適性、解けにくさを実現しています。実際に足入れしたときに感じたのは、他のレーシングシューズほど締め方がシビアでないということ。多少キツすぎても緩すぎても、きちんとフィットしてくれる魔法のようなシューレースが標準装備されています。

こんな細部にまでこだわってチューニングされており、初代メタスピードシリーズも素晴らしいシューズでしたが、新モデルはそこから買い換えてもいいと思えるほどのシューズへと進化しています。フルモデルチェンジとまでは言いませんが、それに準ずるくらいの大幅にスペックアップしています。

きちんと自分に合ったモデルを選ぶ必要がある

METASPEED SKY+とMETASPEED EDGE+のどちらを選べばいいかは、自分の走り方によって変わります。ただ自分ではストライド走法なのかピッチ走法なのかわからないという人もいると思いますので、その場合にはアシックスの特設サイトもしくはアシックスの直営店でご確認ください。

ここでモデル選びでとても大事なことを書いておきます。それはきちんと自分に適したモデルを選ぶということです。男子のトップランナーはMETASPEED SKY+(もしくはMETASPEED SKY)を履いているケースが多く、そうなると自分もそちらを履きたくなるものですが、その選び方はNG。

男子のトップランナーにMETASPEED SKY+を選ぶランナーが多いのは、ストライド走法をする選手が多いというだけのこと。もしくはピッチ走法の選手でも、勝つためにストライド走法に切り替えただけ。

今回のローンチイベントに参加した細谷恭平選手は、ピッチ走法の選手でしたが、METASPEED SKYを履くことで、憧れていたストライド走法ができるようになると感じてMETASPEED SKY+を選びました。その背景には、「METASPEED+」シリーズの開発に携わったという背景もあります。

さまざまなテストを経てのシューズ選び、走法の変更だったわけです。市民ランナーレベルですと、走り方を変えるよりも自分に適した1足を選ぶほうが圧倒的におすすめです。そのほうが走り方を変えなくてもいいですし、より自分のポテンシャルを引き出してもらえます。

アシックスのサイトでピッチ走法だと判断されたけど、どうしてもストライド走法に切り替えたいならMETASPEED SKY+を選ぶ(もしくはその反対も)というのもありですが、トップランナーや憧れのランナーが履いているからという理由で選ぶというのは、おすすめしません。

速く走るためだけに作られた1足

さていよいよタイムトライアルのレビューです。今回はアシックス「METASPEED+」シリーズ ローンチイベントの後半に5,000mのタイムトライアルがあり、イベントスケジュールの関係で準備を含めてアップ時間は15分程度しかありませんでした。

まずはシューズの特性も走り方もわからないままスタートラインに立ったことを前提に読み進めてもらいたいのですが、まずはフィッティングの話です。すでにお伝えしましたように、不思議なシューレースのおかげで左右ともに1回でベストフィットになりました。

ただし右足の踵に違和感あり。私が履いたのはMETASPEED SKY+でしたが、どちらのモデルも今回はラストを変更しており、踵部のフィット感も変えているとのこと。その踵の部分が硬くて、上手くフィットしていない感じがありました。

ただし、走り出したら違和感はきれいに消えて、むしろ最高の一体感を得られました。後でメタラボのスタッフに聞いたところ、立っているときのことは考えてなく、走ったときに最高のフィット感になるようにデザインしているとのこと。

ランニングシューズだから、走ったときのことしか考えていないのは当然と思うかも知れませんが、ランニングシューズを売ると考えたときに、立ったときの違和感、歩いたときの違和感があるシューズは選ばれにくいわけで、思い切った決断になります。

ほとんどのランナーはショップで足を入れて、歩いてフィット感を確認します。そこで違和感があると「自分には合わない」として選択肢から外れてしまいまうため、立ったときや歩いたときの違和感がないこともシューズを売るときにはとても重要なポイントになります。

ただそれは走るときには無駄な機能。なので究極を求めるなら削ぎ落としたい要素。ただ削ぎ落とすと売れなくなる可能性もあるというジレンマ。それでも削ぎ落としたのは、それをしても売れるという確信があったはず。「METASPEED+」シリーズはそれだけの自信作だとも言えるわけです。

自己ベスト更新のためにはシューズに慣れる必要がある

前置きが長くなりました。いよいよ5,000mのタイムトライアルなのですが、アップでは1kmも走らずスタートラインに立ちました。こんなアップをせずにトラックレースに出るのは初めてのこと。ただシューズを信じてやるしかありません。

私の自己ベストは19分5秒で、目標はそれよりも速く走ることでした。なぜなら「METASPEED+」シリーズはこれまでに数々に自己ベスト更新を生み出しており、それもトップランナーレベルで自己ベストを更新しているため、自分もできることならと期待したわけです。

ただ記録というのはシューズだけで出るものではなく、私にいたっては自己ベストを出したときよりも3kg以上体重が重たく、しかもスピード練習もほとんどしていません。当時から年齢も重ねており、とても自己ベスト更新は難しい状態。

それでもテストの場ですので、ベストを尽くすしかありません。ただスタートで完全にしくじりました。最初の1kmが3分34秒で、これは私の1kmのシーズンベストに近いタイム(これはこれですごい話)。シューズが軽いのもあって簡単にスピードが出るのと、周りのランナーが速いので釣られてしまいました。

そこからペースはきれいに右肩下がりの状態で、しかもシューズに適した走り方がまったくわかりません。本当ならもっとスピードを出せそうなのに、全然伸びてこない。走り終えたときに大腿四頭筋がパンパンだったので、おそらくブレーキをかけながら走っていたのでしょう。

慣れないシューズでいきなり自己ベスト更新を出せるほど、ランニングは甘いものではありませんでした。4kmを超えたあたりから、なんとなく走り方がわかってきましたが、時すでに遅く、最終タイムは19分40秒でした。残念ながら自己ベストには遠く及ばず。

スピードは簡単に出せるし、足への追従性も高く、走っているときの安定感もあるので、シューズの持つポテンシャルが高いことは伝わってきましたが、いかんせん走る人が使いこなせる域に達していませんでした。ランニングシューズも大事ですが、練習の積み重ねはもっと大事ですね。

2022-2023シーズンに結果を出したいならおすすめ

結論としては良いシューズだけど、覚えておくべきは履いていきなり結果が出るわけではないということ。特に私はピッチ走法タイプのランナーなのにMETASPEED SKY+を履いたことがまず失敗のひとつ。きっとMETASPEED EDGE+だったら、もう少しスムーズな走りができたはずです。

さらに、きちんとトレーニングでも履いて、自分の走りの微調整を行ってからレースで使うのがおすすめです。私は不慣れなのもあり思うようなタイムになりませんでしたが、とにかく走っているときの安定感が高く、フルマラソンの勝負シューズにしてみたくなる1足でした。

すでに秋マラソンにエントリーをしているという人も、冬マラソンで結果を出したいと思っているなら、これは買いの1足。それくらいいい仕上がりになっています。ただし、シューズの特性を理解する必要があるので、レース直前に購入するのではなく、何度かトレーニングで履いて感覚を掴んでからレースで利用するのがおすすめ。

そのときに、できるだけ自分の走りに適したモデルを選ぶことも忘れないでくださいね。

METASPEED SKY+を履きこなせないままタイムトライアルが終わってしまったので、できればもう1度自分なりに足に慣らしてからシューズレビューを書きたいところです。その前にシューズに頼りすぎないように、体重を落として、筋トレもしっかりとしておくとします。

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